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May 31, 2004

“勝手にDATW”その1『スペースノア』

 “勝手に『デイ・アフター・トゥモロー』応援ウィーク”1本目は、正確にはパニック映画じゃなくてSFサスペンス。だけど、『DAT』のローランド・エメリッヒの監督デビュー作という点では、やっぱり外せないっしょの『スペースノア』だ。

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 ほれ、ジャケットもなんとなく『DAT』の寒気に覆われた地上を見下ろす気象衛星の図みたいでしょ。軍の気象操作によって災厄の危機迫るというテーマ的にも、気持ち通じるものがあるし、ステーションの中で研究員がゲームをして遊んでる描写などは『ID4』『DAT』でも出て来る定番。今見返すとそんな感じで、やっぱこれが原点なんだなぁ…と思わせる部分が散見されるのが興味深いのね。

 サウジアラビアでクーデターが発生し、ニューヨークも監獄と化す(…それは別の映画)等きな臭い匂いが漂う1997年、アメリカと欧州共同体は宇宙ステーション“フロリダ・アークラヴ”を運営し、宇宙環境での生体への影響と地上の気候操作の可能性についての研究が進められていた。そんなある日、ステーションに常駐している二人の研究員に、インド洋上に向けての放熱実験を命じる指令がくだされた。実験の背景についての説明は一切無い上、それが地球環境に多大な影響を与える可能性を懸念した研究員は、独自の調査を進めて行くうちに、アメリカがサウジアラビアでの人質奪回作戦を隠蔽するという軍事目的で放熱実験を命じていたことを知る。実験を拒否する二人に対し、地上のコントロールセンターは、遠隔操作での放熱強硬と二人に代わる作戦遂行者をアークラブに送り込み…

 エメリッヒが卒業制作作品として作ったデビュー作ということで、作品規模はあくまで低予算。けれども、融合炉の暴走で崩壊の危機が迫るステーション内の様子を、粗い画像のモニター画面で描くなど、見せ方に工夫を凝らすことであまり低予算を感じさせないのはたいしたもの。ステーションの閉塞感もよく出ているし、救いの無い結末を含めサスペンスとしては案外このデビュー作が最も成功してるのかもしれない。でも、バカバカしい大風呂敷の広げ方(たためているかどうかは別問題)こそエメリッヒの真骨頂…と思わずにはいられないファンには、それが物足りなかったりするのだけどね(苦笑)。


スペースノア(リバイバル&DVD題『ディストラクション 地球滅亡』)
DAS ARCHE NOAH PRINZIP(THE NOAH' ARK PRINCIPLE)
1983年/西ドイツ/100min/DVD:パンド
監督・脚本:ローランド・エメリッヒ

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May 30, 2004

雪崩は人災(苦笑)

 …と言っても、雪山で起こるもののことではない。現在、ラックに収まりきれずに横積みしてある3つのDVDの山のうち、一番手前のものの途中から観たいソフトを引き抜いたらこの有様(爆!)。

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 いや、本当にきっちり片づけたいとは思っているんだけど、既に収納スペース的には飽和状態で、どこから手をつけていいのやら見当もつかなかったりして。どうせやるんだったら、メーカーorジャンルごとにきちっと整理したいし…とか思うと現状で復旧させる気になれないのが困ったもの。さて、いつになったら片付くのかなぁ…(って、お見苦しいものをアップしちゃってすいません-苦笑-)

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May 29, 2004

未だ未だ続け!『トレマーズ4』

 これはマジで待望(笑)だったシリーズ最新作、『トレマーズ4』のDVDが昨日届いたので早速鑑賞。

 舞台はいつものとおりネバダ州のド田舎の町“リジェクション”。町の名は“パーフェクションじゃなかったっけって?それは、後の名前なんだな(笑)。というわけで、本作は西部開拓時代を背景にした、エピソード1的な位置付けの作品なのだ。

 リジェクションの外れにある銀鉱で、炭鉱夫17人が得体の知れぬものの餌食となって殺された。ただでさえ少ない住人や炭鉱労働者は次々と町を去り、もともと辺鄙な町は最早ゴーストタウン寸前(でも、ウォルター・チャンのご先祖様営む雑貨屋は、鋭意営業中!)。そこにやってきたのは、採掘が止まったことを訝ってやってきた銀鉱のオーナーのハイラム・ガンマー氏…これまでのシリーズ皆勤の武器をたくバート・ガンマーのご先祖様で演じているのは勿論マイケル・グロス。残り8人となった住人たちは、彼こそ占いに出た「偉大なる勝利者」かと期待を寄せるが、当のハイラム氏は金勘定は出来ても、銃を撃つことはおろか、一人では馬に乗ることも叶わぬヘタレ野郎だったのだ…

 開幕から20分ほどで初登場する今回のグラボイズ君。視察に来たハイラム&鉱夫たちに地中から飛び出しての果敢なアタックを試みるが、ここでは体長1メートル弱程度と「お前は、ショッキラス(…って皆覚えてる?)か」程度というショボさ。こりゃ、4作目にしてB級モンスター映画ファンがニコニコできる水準を、とうとう下回っちゃったかなぁ…とちょっと心配になったが、その後脱皮を繰り返し、1作目よりは気持ち小さめだけどほぼ同等まで成長し暴れまわってくれ、結果的には無問題。ハイラムらが避難した駅馬車駅の床板を、1枚1枚持ち去って行くなど、頭脳派ぶりも見せてくれるぞ。

 帽子の下に死体の頭が…と思わせて実は…という場面は、1作目を意識しての改変だったり、武器ヲタクのバートのご先祖が何故銃が使えん?とか、昔襲撃を受けてたのなら町にはその時の経験が蓄積され、1作目の襲撃時点で住人たちが見せた、「こいつ何者?」な展開とかに対するアンサーもキッチリ用意されているのが嬉しい。そう本作は、雇ったガンマン(『アンタッチャブル』の殺し屋など悪役一筋のビリー・ドラゴ)から、「年食っただけじゃ、男になれない!」(耳の痛い台詞っすね(爆!))と一喝される、ヘタレ野郎ハイラムが逆境の中で奮起し、人々の信望を得るまでの成長物語でもあるんだね。このあたりは、シリーズ全作のストーリー及び『~2』の監督を務めるなど、シリーズを知り抜いたS・S・ウィルソン面目躍如といったところだろう。今後も、彼をはじめとする『トレマーズ』命なスタッフ陣によって、長寿シリーズとして続けていって欲しい。なんでもアメリカでは、TVシリーズ版も放映済みなので、そっちも日本でのTV放映orソフト化を激しく希望!

 西部劇タッチの作品ということで、古式ゆかしい銃の数々も話題のようだが、このあたりは得意分野じゃないこともあり、その大半の価値は僕には理解不能だったが、口径5センチでバカ長い銃身が大砲かと思っちゃうくらいのバントガンは、そんな僕にも感動的。その威力は、グラボイズの1匹を見事にしとめるところで堪能できるが、それを使って敵を全滅に追い込む前に、あっさり使い物にならなくさせてその後の危機的状況を盛り立てる構成もなかなか堂に言っていた。

 といったところで、未公開ビデオ作品としては合格どころか、充分に納得の行く快作だよ。しかし、ソフトとしては大きな不満有り。ユニバーサル・ピクチャーズの未公開作DVDではありがちなことではあるが、予告編が入って無いのはいかがなものか。だって、同じくOV作品だった『~3』にだって予告編収録されてたし、何よりユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンの公式頁では『~4』の予告編がしっかり配信されているという。ちゃんと、あるんじゃん!だったら、収録してよ。おかげで、『~4』だけ手元に予告編なし状態になってしまったのが、ものすごっく気持ち悪いっす(苦笑)。ではここで、シリーズ全作のジャケ写をどうぞ。

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 中央で異彩を放っているのは、リーマン時代に購入した『トレマーズ本編&特典ディスク』と『~2』を収録した『トレマーズ』スペシャル・コレクションLD-BOX。3枚組で¥18000也。今、全4作のDVD揃えるよりも、遥かに高価ジャン。こんなもんを新譜で購入してたなんて、やっぱりリーマン時代は今よりもバブリーだったのね(苦笑)。

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May 28, 2004

『怪談 新耳袋』KUBRICK到着!

 例えオークション落札品であろうとも、応募券が残ってたんだからその権利は僕のもの!ということで、『怪談 新耳袋』第2シーズンのDVD3枚“近づく編”“開けちゃだめ編”“白いひも編”購入者特典オリジナル・キューブリックが本日到着。

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 白い上半身は蛍光塗料入りなんで、暗闇でぼ~~っと浮かび上がるのがなかなかぷりちぃ。それはそうと、これってなんのキャラのキューブリック化なんだろうか?イマイチわかんないんですけど(苦笑)。

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 こうして四つん這いにさせてみて檻に入れれば『庭』…なのか?ご存知の方は、情報ヨロシクっす。

 そうそう、『庭』の高橋洋と言えば、今待ちに待った長篇ホラー監督デビュー作を製作中だったんですね。タイトルは『女優霊2』…ではなくて(苦笑)、『ソドムの市』といい“市”はパゾリーニじゃなくて座頭市の“市”だとか。狂った『発狂する唇』系か?はたまた陰惨な『インフェルノ 蹂躙』系か?いずれにしても、心霊ホラー系ではなく、死もとへ氏が標榜するグランギニョール趣味爆発になってそうなんで、結構楽しみっす。

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May 27, 2004

リンゴ売りも凍りつく(サブッ~)『デイ・アフター・トゥモロー』

 26日の前半は後日回しにして(爆!)午後6時半、知りあいの編集さんに試写状をもらったのでよみうりホールで行われた『デイ・アフター・トゥモロー』の一般試写に行く。なんてったって、出来のいい悪いに関わらず(爆!)現段階では個人的に一番気になる作品だったからね。しかも回数の少なかったマスコミ試写に行けず、先行オールナイトにいくしかないか…と思っていた自分にとってはまさに渡りに船。これに行くことで観れなくなった最終試写・披露試写が1本ずつあったのだが、そんなことは無問題(笑)。

 映画の中身は、大々的な宣伝戦略で皆さん当にご存知のとおり(笑)。地球温暖化によるスーパーストームが、世界中で氷河期を引き起こすというブロック・バスター・カタストロフ・パニック。いやぁ、思ったとおりエメリッヒ印全開の大味スペクタクルで、気になるところは多々ありつつも、カタストロフ・ジャンキーには堪んない映画だよな。

 映画の上映時間は、作品規模・最近のエメリッヒ印を考えれば、意外なくらいにコンパクトな122分。それ故か物語は、冒頭の南極氷原に走る亀裂と大氷棚崩落に始まり、事態を察知する科学者たち、研究発表と相手にしない政府、インドに降る雪、千代田区東京を直撃する巨大雹と深みはなくとも見せ場がてんこ盛り。因みに、千代田区東京の場面は、気持ちとしては有楽町のニュー東宝シネマ裏の居酒屋街あたりを意識してるのかな…と思えなくもないが、素直な印象は歌舞伎町から大久保あたり…つうか日本語場面は未だに『ブレードランナー』になっちゃうのがいとおかし。まぁ、『ゴジラ』の日本船場面もそうだったから驚くにはあたらないのだが(苦笑)。そして、前半の最大の見せ場ロスを席巻する大竜巻群の登場だ。竜巻映画は多々あれど、これだけの大都市を蹂躙したのは初めての快挙かな。でも、看板が犠牲者直撃のカットとかは、ゴジラの足が目前に迫る場面と同じような感じ。

 …と、そんなこんなで本作は、これまで様々なパニック映画で描かれてきた災厄場面各種を、思いっきりぶちこんで再構成してみましたなノリですね。個々のネタは、後述のシリーズで書いていくとして、アメリカでは改竄短縮版しか公開されていないはずの『日本沈没』を思わせる部分まである。大寒気に覆われたアメリカ市民が、メキシコ国境から大量に流入。メキシコ政府が国境閉鎖なんてのは、現実の状況を裏返した皮肉なのかもしれないけど、これってスペクタクルに加え高度成長を遂げながら流浪の民族となる日本人の姿を描くという『日本沈没』とダブルよね。最も本作のテンポでは、そこで国土を失ったアメリカ市民の思いや姿を描くにはいたっていないけど。そう思うと、全米を覆う巨大寒気の雲を気象衛星から捉えた印象的なカットも、海底乱泥流に見えてきたりして。いや、これは『首都消失』の雲かな(笑)。

 『ID4』『ゴジラ』に続くニューヨーク破壊の大津波は、やはり前2者のアレンジじゃんな気分は濃厚なんだけど、『ディープインパクト』のように破壊されて押し流されるわけではなく、胸まで水につかったまま立つ自由の女神像、水没したマンハッタンの街路を漂うロシアの貨客船の幻想的な姿など画的には一応差別化しようとしていることもうかがえますな。それでいて、寒波が襲ってくると図書館に避難していた人々のほとんどが、危険を訴える主要キャラの言うことを聞かずに勝手に出て行き自滅するのは、『ポセイドン・アドベンチャー』『世界崩壊の序曲』などで御馴染みのアーウィン・アレン印だ。そして主人公の気象学者が、図書館に残っている息子を求め豪雪の中『復活の日』する「守りたい愛がある…」な展開になるわけだが、このあたりはスペクタクルのための言い訳であって、いきなりトーンダウンしちゃうのがなんとも可笑しい。というか、今回コンパクトさとテンポのよさを優先するあまり、個々のエピソードは思いっきりつまみ過ぎの感は否めない。イアン・ホルム扮するイギリスの気象学者とか、アメリカ大統領のエピソードとかすごく中途半端。まぁ、主人公に協力する女学者はタムリン・トミタって現役だったんだぁ~って感慨だけで許すことにする(笑)。

 全体的にCGI特撮中心故に、ミニチュア的なダイナミズムには一歩劣る気はするけれど、あまり観たことがなかった寒気をヴィジュアル化しようとしたアイデアの数々はやっぱりいいね。高層ビルが上層階から氷結し砕け散るあたりはその最たるものか。流石にエンジン停止し墜落するヘリコプターってのは、笑うしかなかったけどね。

 とりあえず、音響のいい大劇場でもう一度観たいとは思うので、7月の映画の日には再見しようと誓った自分だった(…って、そこまで待つんかい-苦笑-)。

 というわけで、当blogは勝手にDATW(勝手に『デイ・アフター・トゥモロー』応援週間)として(笑)、関連パニック作品のDVDを集中紹介予定。勿論、『地球最後の日』『ディープ インパクト』『ツイスター』『パーフェクト・ストーム』…といったメジャー作品は、登場しないのだが(苦笑)。

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May 26, 2004

『モナリザ・スマイル』、中古ソフト探索、大興奮の『マッハ!!!!!!!!』

 25日、午後1時からUIP試写室で『モナリザ・スマイル』(UIP配給)を観る。53年の保守的な名門女子大に赴任してきた美術教師キャサリン(ジュリア・ロバーツ)が、良き妻になることこそ女性の理想とする校風の中で、学生たちに自立する力と進歩的な教育を与えて行こうとするのだがその壁は厚く…という女性映画。最近では知的な美少女と言うよりも、気持ちおばさん風(…でもファンなんですけど-苦笑-)な風貌になりつつあるキルスティン・ダンストが、校風と因習にガチガチに凝り固まった憎々しげな優等生ベティにはまってますな。でも、最後はしっかり可愛い…というか美味しいけれど。8月7日よりみゆき座ほかにて全国ロードショー予定。

 その後、中古の日割引多しの秋葉に移動。ヤマギワソフトで先日立ち寄った時にチェックしていたDVD『吸血髑髏船』¥2394を1割引でGet!。予定通りとほくそえむが、その後立ち寄ったソフマップの中古売場で同じ作品で気持ち廉いものに出くわしてちょっとブルー…って¥100も違わないんだけど気持ちではこの差が大きいのだ。ラジオ会館内のSaleで輸入盤DVD『KILLER RATS』を¥2100で購入。送料等を考えても、直接amazon等に頼んだ方が¥500以上廉いはずだが、ジャケを手にしたら棚に戻せなくなっていたという(苦笑)。中身は、後日こちらで紹介しよう…ってそんなんばっか、溜まっていく気がする今日この頃。その後夜の試写のための新宿に移動中、BOOKOFF新宿靖国通り店でDVD『ブラックマスク2』を¥1250、ディスクユニオンで半額セールで¥750だった輸入盤DVD『SWAMP THING』を¥750で購入。どっちも格安だったと思うけど、なんかチリもつもって散在だぁ。

 午後7時50分(実際の開演は若干遅れた)からは、新宿東急で『マッハ!!!!!!!!』(クロックワークスギャガ・ヒューマックス共同配給)の完成披露試写会。ノー・CG!、ノー・ワイヤー!ノー・スタント!ノー・早回し!ムエタイ・バトル!…ということで、話題を呼んでいるタイ製アクション。これが大興奮ものだった。物語は、盗まれた仏像の頭部を取り戻すために、ムエタイの奥義を極めた主人公が悪と戦うただそれだけ。実にクラシカルかつシンプルなものなんだけど、精悍なトニー・ジャーの繰り出す本物の技の数々が凄すぎる。助走も何もないような体制から宙に飛び上がり、回転し、肘・膝を敵に決める技のスピード感は、早回しどころかスローモーションにしてくれよって感じ(笑)。実際、しっかりスローモーションで繰り返してくれる部分もあり。この日は上映に先立ってトニーとブラッチャー・ビンゲーオ監督が舞台に立ち、作品のアピールとトニーによるムエタイ実演パフォーマンスも行われた。そんなわけで実際に舞台上で、キレ味鋭い技を見せられたこともあって、作中の本物度は全く疑いようがないものなんだと尚更納得させられたりして。トニーは、ブルース・リーとジャッキー・チェンに憧れて8歳の時からムエタイをはじめたとのことだが、なる程全体の切れ味鋭くもシンプルな感じは『燃えよドラゴン』、中盤でタイ市街の屋台が軒を連ねる雑踏を駆け抜けながら敵の一軍と戦う件のコミカルかつ本気さは『プロジェクトA』を彷彿とさせる。新たな本格派アクション・スターの登場ということで、アクション好きの映画ファンならこれは必見だろう。公開はこの夏、渋谷東急他全国松竹・東急系にてロードショーとのこと。また、公開を前にはあらためてトニーらが来日し、大々的なプロモーションが展開されるそうなので、そちらも要チェックだね。

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May 25, 2004

『友引忌』

『友引忌』

 続けて韓国映画をもう1本(笑)。オヤクソクパターンながら、冒頭のショック場面がかなり有効だった『友引忌』である。

 昨年の東京ファンタでは、『悪夢(仮題)』として上映されたホラー作品。大学院に通うヘジンのもとに、大学時代のサークル仲間で2年間音沙汰の無かったソネが突然訪ねてくる。しかしその様子は落ち着かず、何かにすっかり怯えきってているようだ。「あの娘が私につきまとってくるの。ギョンアが…」。それは2年前に自殺したサークルの女子大生の名前だった。そしてその日を境に、ヘジンのかつてのサークル仲間たちが惨たらしい死を遂げていく。謎を追うヘジンは、やがて彼女だけが知らなかったギョンアの死の真相を知り…

 監督は第2作『ボイス』が日本でも話題になったアン・ビョンギ。ギョンアの幼少時代の描写などには、やはり『リング』等の和製心霊ホラーの影響も垣間見られるが、全体的にはむしろストレートなアメリカン・スラッシャーに近いノリになっている。昨年のファンタの開催前に故あってビデオで観てはいたのだが、あらためてきちんとした形で観直してまず感じたのは、『ボイス』でも特徴的だった怖がらせるための音響設計が、既に本作で完成していたということか。正直、演出及び脚本面では『ボイス』に比べると未だ未だ荒削りな印象は否めないが、その音響効果故にそこそこの恐怖感を出すことに成功している。また、ホラー好きの間でも評価の分かれる部分ではあるが、青を基調とした冷たい色調と、無機質で現代的な舞台設定といった部分も、既に本作から色濃く現れていたのだ。

 また、『ボイス』では凛とした佇まいで、事件の謎に迫ったハ・ジウォンが、日常では楚々とした儚げな面持かつちょっとゴスッ娘の線でありながら、ことが起きると白目を剥き出し血飛沫も無問題なギョンアを演じていたのが、その落差も手伝ってかなりポイントが高い。怖がらせる役と、恐怖と対峙する役それぞれを演じているという点でも、韓国のホラークイーンの異名は伊達ではなかったと言うものだ。個人的にはその道を、さらに突き詰めて欲しいと思うのだが、当の本人はその異名から脱皮すべく、現在様々な種類の作品に出演しているとか。残念(笑)。一方、謎を追うヘジンには『囁く廊下 女校怪談』のキム・ギュリが扮している。

 2004年7月3日より新宿シネマミラノ他にて全国一斉ロードショー。

(松竹配給・2004年4月21日・松竹試写室にて)

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『浮気な家族』

『浮気な家族』

 夫のヨンジャクはやり手の弁護士。妻のホジョンは、既に夫との間に燃える上がるような感情が消えうせたことを感じつつも、養子である7歳の一人息子スインを溺愛し、昔とった杵柄であるダンスのインストラクター活動に熱中している。30代の夫婦である二人は、生活面では一見何不自由の無い日々を送っていたが、その実夫は外に愛人を作り、妻は隣に住む高校生(…って中退中ですが)と関係を持ってしまうなど、その生活のそこここにはほころびが生じていたのだった。

 お話自体はいかにもなメロドラマ風で、決して自分にとって興味をそそられる題材では無く、また主人公夫婦それぞれの感情の動きもモラトリアム独り者の自分には余り実感を抱けなかったんだけど、にも関わらずこの映画は面白かった。

 その魅力の一つは赤裸々であると同時にとんでもないブラック・ユーモア(息子の運命をそっけなく描いたシークエンスはまさに衝撃的!)を塗して見せるイム・サンス監督(『ディナーの後に』(98)他)の演出の冴えによるものだが、実はそれ以上に心躍らされたのはホジョンを演じたムン・ソリ(『オアシス』(02))の存在に他ならない。『オアシス』では重度脳性麻痺のヒロインを熱演していた彼女が、本作では素顔のままで(笑)、しかもそのしなやかな肢体を十二分に活かして熟れ頃人妻を演じているのが堪らないっす。隣家の少年が覗いているのに気づきながらも、自宅で全裸のままダンス・ポーズをとってみたり、夫との性交渉で満たされぬとその直後にオナニーをはじめてみたりと、『オアシス』とはまた違う体当たりの演技が素晴らし過ぎ。場面、場面自体は結構大らかに撮られているにも関わらず、大人でも赤面しそうな性描写も、そうした場面のある韓国映画では定番だね。

 そうそう、ホジョンと隣家の男の子が一緒に登山に行く件で、男の子がホジョンに語って聞かせる物語はレイ・ブラッドベリの『華氏451』だった。ブラッドベリって、やっぱり青春期の少年にとって永遠の定番だったよな…と遠い目をする自分であった。

 2004年6月12日よりシアター イメージフォーラムにて独占ロードショーとのこと。

(GAGA配給・2004年5月13日・映画美学校第1試写室にて)

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May 24, 2004

韓国映画『狐怪談』『子猫をお願い』&ユーリー・ノルシュテインの世界

 ここには最早、日記的な時系列など存在しないのか(爆)!?台風一過で昼前からよく晴れた21日、まずは渋谷に出ると午後1時から東芝エンターテインメント試写室で『狐怪談』(03年・東芝エンターテインメント配給)を観る。『囁く廊下 女校怪談』(98)、『少女たちの遺言』(99)に続く“女校怪談”シリーズの第3作目。なお前二作はシリーズといっても、少女たちの日常描写と思いの揺れを丁寧に描きつつ、併せて怪異をしっかりと登場させるというスタンスのみが共通で(と言っても、重きが置かれた部分が前者か後者かは異なるが)、物語、キャラクター、舞台設定等は全て独立したものとなっていたが、今回の作品もその線を踏襲。それぞれ単品で楽しめるようになっているのが、このシリーズの特徴だ。

 本作の舞台は芸術を専攻する女子高とその学生寮。学生療の手前には28段の階段があり、そこには狐の霊が棲みついている。そして強い願いを込めて一段、一段と登って行くと最後に29段目が現れて、その願い事は叶えられると言う噂が少女たちの間では囁かれていた。そして、清らかなオーラを放つ美少女ソヒ、バレエのプリマを目指すジンソン、美術を志す過食症のヘジュは、それぞれの思いをこめて階段を登って行くのだったが、彼女たちの願いが叶えられた時、学園を惨劇の嵐が席巻する…といった感じで、都市伝説…と言うか他愛無い少女たちの噂話に、『猿の手』や『ペットセマタリー』等禁断の願い譚のモチーフをミックスした物語が展開されて行く。

 持ち前の美貌と天才的なバレエの技術を併せ持ちながら、母親からかけられる過度の期待から逃れるかのように、屈託の無い愛情をジンソンに注ぐソヒ。プリマとなることを切望しながらも、実力では決してソヒには敵わず、やがて仲のよかったソヒのことを疎ましく思い出すジンソン。そしてその容貌故に周囲からの嘲笑の的であるヘジュは、古ぼけた美術室の一角で叶わぬ想いを抱き続けるソヒの私物を集めている。それぞれに願いを持ちながら、それが日常の中では決して叶えられずに抑圧されて行く少女たちの姿を痛々しくも繊細に描いた前半部分は、ユン・ジェヨン監督(及びスタッフの大半を占めたと言う女性スタッフ陣)の同性としての眼差しがよく出ていると思う。そして、ジンソンの願いが叶った後の恐怖劇も、ツボを押さえた音響の使い方と怪異の見せ方で見せてくれる。個人的には、1作目の『囁く廊下~』ほどのインパクトこそ無かったが、2作目の『少女たち~』よりも恐怖とドラマの纏まり具合は高く、3本中では2番目かな。

 オーディションで選ばれた(2人は映画初出演)3人の少女たちも、それぞれのキャラクターを好演。サリエリ的なジンソン役のソン・ジヒョは、ちょっと吹石一恵を思わせる顔立ちで凡人ゆえの苦悩を演じて、共感度高し。ヘジュ役のチョ・アンは、いきなり特殊メイクによるデブデブ状態で登場するも、願いが叶って痩せてからはその生来の美貌を生かしつつ、トイレで食べ吐きしその思い故に取り憑かれてしまう一種の汚れ役を体当たりで怪快演。そして、この面子の中では下手をするとその印象が薄くなるのではと思われたソヒ役のパク・ハンピョルも、後半ではその美貌故の凄みで後半の惨劇にスパイスを効かせている。劇場公開は、7月下旬より新宿武蔵野館にてレイトロードショーとのことだ。

 それにしても今年は、昨年にも増して韓国映画の公開本数が増えているようで、何か毎週のように韓国映画を観ているような気がする。日本で韓国映画が一般的なファンにも広く認知されたのは、2000年の『シュリ』くらいから、個人的に韓国映画に興味を持ったのも、その前年の韓国新世代映画祭'99の上映作品として初お目見えした『囁く廊下 女校怪談』だということを考えると、ここ最近の公開ベースはまさにバブリーな感が無くも無い。それでもあまり飽きを感じないのは、新作に限定することなく、先日紹介した『花嫁はギャングスター』『ホワイト・バレンタイン』と言ったちょっと前の秀作をも含めた公開作品のバラエティの持たせ方によるところが大なんだろうね。このまま行けば一過性のブームとしてでは無く、普通に観られる状態に落ち着いてくれそうなのがちょっと嬉しいかも。

 ところで、『狐怪談』『4人の食卓』はどちらも女性監督のデビュー作。韓国ではホラーを志す女性監督が多いのか?!と早計したくなりそうな連荘ブリだが、実際はホラーに関わらず様々なジャンルの作品で女性監督が輩出されつつあるようだ。

 ということで、渋谷から京橋まで移動し3時半から映画美学校第2試写室で観たのが、同じく女性監督チョン・ジェウンの長篇デビュー作『子猫をお願い』(01年・ポニー・キャニオン=オフィス・エイト配給)で、これがまた可愛らしくも結構シビアなガーリー・ムービーで満足度高し。高校時代の親友同士5人が、卒業後それぞれの道を進んで行く過程での葛藤とそれぞれの相手に対する感情の変化を、卒業から2年が経過した二十歳前後の一時を抽出して描いたもの。容姿にも恵まれ、入社した証券会社で強い上昇志向を隠すことなく進むヘジュ(イ・ヨウォン)と、美術の道を志しながらも本人は望まぬ工場労働さえもリストラされたことから日々の生活の不安を抱え、学生時代は一番の親友であったにも関わらず現在の自分をひけらかすヘジュに鼻持ちなら無さを感じてしまうジヨン(オク・ジヨン)。そして離れ離れになりつつある友人たちの絆を取り戻そうとしながら、自身も理解の無い親からの脱出にもがくテヒ(ペ・ドゥナ)。この中心となる3人(残り二人の中国系双生児は、彩りの域を出ていないけど)の、時には他者に対して残酷であり、また個々の人間としてはちっぽけで弱弱しくも、それぞれの目標を見据えたその生き方が、キャラクターの善悪(…は言い過ぎか。他者を見下しているかのようなヘジュも含め)とは無関係に、観る者に清々しと共感を誘い実に清々しい。

 また、ヘジュがボランティア活動として口述タイプする小児まひの青年詩人の誌や、彼女たちのコミュニケーション・ツールとして欠かせない携帯メールの文字が画面にインポーズされる映像表現が、同様の描写のある邦画作品などと比較すると実に垢抜けていて新鮮。こちらは、6月26日よりユーロスペースでロードショー公開予定とのことだ。

 軽く夕食を取ってから6時半よりTCC試写室で、“映像詩人ユーリー・ノルシュテインとロシアアニメーションの世界”と題して公開される短編アニメ選集を観る。ノルシュテインの作品は、映画祭や特集上映でわりとよく上映されていたような印象(特に『話の話』)だったが、これだけ纏まった形で一般劇場でかかるのは意外なことに今回が初めてとのこと。7月18日からのラピュタ阿佐ヶ谷(9月以降全国順次公開)での上映では、作品を親子向き作品を集めたAプログラムと大人向け作品を集めたBプログラムの2プログラムに分け、さらに他のクリエイターの作品を加えての上映になるとのこと。この日の試写では、『ケルジェネッツの戦い』『25日・最初の日』『狐と兎』『霧につつまれたハリネズミ』『あおさぎと鶴』『話の話』の7作品。それぞれに味わい深い作品揃いだが、中でも特に気に入ったのが『霧につつまれたハリネズミ』『あおさぎと鶴』だ。

 Aプロに属する『霧につつまれたハリネズミ』は、昨年ふゅーじょんぷろだくとより刊行された、プロのアニメ作家・スタッフ選出による『世界と日本のアニメーションベスト150』で、第1位に選出された作品とのこと。ハリネズミの仕草や表情が兎に角可愛いいし、その他のキャラクター(特に、最初はハリネズミを食べようとしていながら、好奇心からその姿を見守るようになる梟が絶妙)も実に味がある。細かく表現された霧をはじめとする繊細な描写の数々によって、10分の短編とは思えない充足感があり。なお、同書第2位選出の『話の話』は物悲しいタンゴのリズムとイメージの奔流に心地よく身を任せているうちに、男たちが戦場へ駆り出された後くらいから意識が飛んでしまっていたという(苦笑)。これは、ちゃんと観直したいので、公開時に劇場に行くか、DVDを購入するか要検討だな。

 Bプロに属する『あおさぎと鶴』は、お互いに好意を持ちつつも、告白されては断り、それを後悔して逆に告白に行っては断られてしまって…を延々と繰り返す二羽の姿がじれったくも、コミカルで、その様子を見つめる作り手の視線が温かくっていいっす。

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第1回アルジェント研究会

 画像が不鮮明で何のことか判らなかったかもしれないっすね(一応、帰宅後に画像だけはちと細工したものに変えたんですが-苦笑-)。と言うわけで、“敵状視察”をもうちょっと詳しく。

 日本で(もしかしたら世界中でも!?)一番詳しいダリオ・アルジェント・ファンサイト“AVETE VISTO DARIO ARGENTO PAGE”主宰の矢澤氏による、第1回アルジェント研究会が5月22日に亀戸のカメリアプラザで開催された。以前にも書いたように、映画の魅力はいかにお話を語ってくれるかという点につきると考える自分は、ダリオ・アルジェントは最も唾棄すべき監督と評して憚らない反「ア」者(笑)なのだが、久々にヤザワちゃんと飲みながら馬鹿話をするのもいいかなぁと、ホラー映画フォーラムの友人で「ア」好きでも嫌いでもないかものNALUさん、御吸いものは大好きだけど「ア」はあまり好きでもないかもの比呂さんという不心得なメンバーで、研究会に潜りこんでみた。

 当日のメニューは、「ア」作品中過去に遡っても唯一日本でソフト化されたことの無い『四匹の蝿』仏版と、「ア」が演出した(何故に?)ニコラ・トラサルディーのファッション・ショーの様子を収録した『TRUSSARDI ACTION』と言う、かなりレア度の高い映像の上映と、矢澤氏による作品解説及び質疑応答と言った感じ。出席者も33名と中々の盛況ぶり。「10名も集まればいいかと思っていましたが…」の言葉は謙遜が過ぎるにしても、最初に挨拶に立った矢澤氏は気持ち緊張気味。それでも作品解題コーナーでの、短時間でにポイントを押さえた説明ぶりは流石。

 上映作品中『四匹の蝿』は、画質の悪いビデオは持っているので初見ではないが、徐々に進んで行く主人公を苛む悪夢と、ラストのスローモーション・シークエンスだけ(爆)は、何度観ても唸らされますな。なお、上映中いきなり照明が入るトラブルがあったのだが、決して反「ア」によるサボタージュではないので念のため。でも、それを一番やり易い位置に座っていたと言うのがなんとも(苦笑)。ファッションには興味が無いことも手伝って、『TRUSSARDI ACTION』はいささか退屈してしまったが、それでもショーの中で雨を降らし強風を起こしとモデルだったら絶対喜ばない仕掛けを施すあたりは、美女苛めの「ア」の面目躍如か。

 また当日配られた私家版資料は、恐らく『四匹の蝿』に関する日本語の資料としては最も充実した内容で「ア」ファンなら必携もの。反「ア」の僕的にも結構トリビアな楽しみ方ができたという。

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 研究会終了後は近所の居酒屋で2次会。こちらは16名が参加し、様々な濃い話が和やかなムードの中繰り広げられた。「この中で、唯一「ア」が大嫌いな人間です」発言をした自分も、皆さん優しく受け入れてくれましたしね。「ア」ファンの皆が皆、『MAY』のへたれ野郎と同じわけではないことを実感…って当たり前だ(爆)。久々にYELLOWの飯田さん(…って誰?)ともお会いできたしね。

 その後、三次回も行われたのだが、流石にそれからチャリで30Kmの道のりを考えると厳しいものがあり後ろ髪をひかれつつも帰途につく。その途中、この日初めて寄った両国のブックオフで『スパイス・ザ・ムービー』のDVDを¥2000で購入。何故に???まぁ、一応スパイものの要素もあるからね(苦笑)。

 なお、次回研究会は7月24日に『ビッグ・ファイブ・デイ』(MIMIビデオ!)上映&新作『デス・サイト』について語る…というメニューで開催予定とのこと。興味がある方は、上記リンクを参照ください。

 といったところで、どうもお疲れ様でした>ヤザワちゃん。そして参加された皆さん。

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May 22, 2004

敵状視察

というわけで、これから参加(笑)。May22_1322.jpg

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可愛いらしい映画『ホワイト・バレンタイン』、音楽が洒落っ気たっぷりの『セイブ・ザ・ワールド』

 18日、午後1時からメディアボックス試写室でチョン・ジヒョン(『猟奇的な彼女』!)の映画デビュー作『ホワイト・バレンタイン』ハピネット・ピクチャーズ=ツイン共同配給)を観る。当時未だ高校在学中だったというジヒョンは勿論のこと、映画自体もとても可愛らしい出来栄えで、押し付けがましいところはほとんど無く、素直に清々しい気分にさせてくれる小品だ。

 20歳の女性ジョンミン(ジヒョン)は、通っていた大学を絵の道に進みたいと中退し、今は祖父の営む小さな書店を手伝っている。そんな彼女のもとに、白い鳩が迷い混んで来る。その足には、愛する相手への切ない思いを綴った手紙がついていた。軽い気持ちでその返事を書くジョンミンだったが、実は彼女とその差出人ヒョンジュン(パク・シニャン)の運命の糸が既に交錯していたことを知る由もなかったのだ…

 歳を偽って続けていた文通相手の電車を制服姿のジョンミンが自転車で必死に追う冒頭か、作品は瑞々しい情感の迸りが眩い。ジョンミンの祖父の書店があるキョドンの町の素朴な佇まい。木造2階建ての書店の自室の窓辺に身をよせるジョンミンと、そんな彼女を優しく包む光。例えが微妙に外れている気がしないではないが、アイドル映画を含め大林宣彦が少女の姿をピュアに綴った作品群にも通じる感覚がそこにはあるように感じた。当時高校生だったというジヒョンの姿は、二十歳というにはちょっとあどけない印象も受けるが、そのかしましくも真摯な姿は、僕たちが想い描く等身大の女の子という幻想(…なんて書くと怒られちゃうかな)を体現しているようだ。

 監督は本作に続く火災アクション『リベラ・メ』が日本でも話題を呼んだヤン・ユノ。資料によれば本人はメロドラマはどちらかと言えば苦手と語っており、ジョンミンの亡き父を巡るエピソードなどいささか舌っ足らずな印象を受ける場面もあるが、監督自身の夢はパステル調の恋愛ファンタジーとしてはかっちり結実していると思う。二人を結ぶ赤い糸を、現実の状況としてストレートに映像化してみせる件などが、その最たる成果ではないだろうか。

 公開予定は6月19日から新宿シネマミラノでレイトロードショーとのこと。同じ場所にあるシネマすくえあとうきゅうでは、同じくジヒョンとシニャンが共演している新作サイコホラー『4人の食卓』も6月5日からロードショー公開中とコンビ作品の新旧作が並んで公開されるので、両作品を続けて見ることで二人の(僕的な興味はジヒョンに集中しているが-苦笑-)成長もしくは変化を見比べるのも一興だね。しかも同日に観るならば、重っ苦しくのしかかる(否定語では無くそこが魅力なのだ、念のため…)『4人~』の後で、まさに清涼剤的な『ホワイト~』を味わえると言うのも流れとしてはバッチリかと(笑)。

 そう言えば、ホラー映画ではよくあることだが『4人のテーブル』でもまた映っているはずがないものが映っているという記事が出ているようだね。僕自身が試写で観た時は、件の場面は車内からの撮影用とかで乗っていたスタッフの映り込みとしか感じなかったけど、監督側はそういう事実は一切無かったと言ってるとか。まぁ、今さら凡ミスですとは言いだせないだろうよ…というのが勝手な憶測だが果たして真相はどうなんだろうか。因みに、それが凡ミスであったとしても『4人~』がお薦めであることは、以前に書いた通り変わらないことは強調しておこう。

 次の試写までの間の時間潰しに有楽町ソフマップの中古売場をのぞいたところ、未だ出て間もない『オデッセイ:セカンドレボリューション』が¥1480という安値で出ていたので、迷わず即買。未公開作品“信頼のブランド”(笑)UFO製作の『オデッセイ2001』の続編なので、クォリティに関しては良くも悪くも観る前から予想が出来ちゃうけど、B級ジャンキーならこの価格で買わずにどうする。これでヤフオクのアラートも一つ削れるしな。でこれで浮かれたあまり、ソフマップのポイントカードを受け取らずに店を出たことに全く気がつかなかったという、余にも安すぎる自分自身でもあったのだ(苦笑)。とりあえず、作品自体に関しては後日鑑賞後に紹介しようと思う。

 その後、新橋のTCC試写室で『セイブ・ザ・ワールド』GAGA=ヒューマックス共同配給)を観る。スティーブ(マイケル・ダグラス)は表向きにはゼロックスの営業マンだが、その実体は武器密輸組織潰滅のために世界を又にかけて暗躍するCIAの潜入捜査官。プラハでの任務からトンボ帰りで戻った彼は、一人息子の結婚相手の家族との顔合わせに遅刻しながらも駆けつけるが、その席で花嫁の父でクソ真面目な医師のジェリー(アルバート・ブルックス)に、その正体が常人ではないことを悟られてしまう。スティーブはなんとかジェリーに対して取り繕おうと接近して行くが、結果平凡な医師をも原潜密売を巡る陰謀の渦中に巻き込んでいく…

 危険を愛する秘密エージェントに堅物医師という性格もライフ・スタイルも全く異なる二人の男が、世界の大事を前にドタバタ騒動を繰り広げるという、ちょっと懐かしいムードのスパイ・コメディ…と思ったら、実際本作はピーター・フォークとアラン・アーキンが正反対の2人に扮した『あきれたあきれた大作戦』(79年)のリメイク作品だとのこと。僕自身もオリジナル版は未見だが、これはオリジナルも観てみたいなと思わせてくれる楽しい作品だ(オリジナル版も、近々ワーナーホームビデオから廉価版DVDが発売予定)。主役の二人のオヤクソクの対立と共闘の過程も安心して見られるが、本作の楽しさを盛り立てているのはなんといっても洒落っ気たっぷりな音楽の使い方。冒頭、プラハでスティーブが危機を潜り抜ける件では、ポール・マッカートニーの“Live & Let Die”(『007 死ぬのは奴らだ』のテーマ曲)が流れ、スティーブとジェリーがパリに乗り込むと『男と女』のシャバダバダ~が流れ出すという仕組み。バーブラ・ストライザンドネタも可笑しかったが、極めつけは子供たちの結婚式の会場に原潜から発射されたミサイルが迫るクライマックスに流れるあの名曲。流石にこれは書かぬが華だが、歌詞と結末が綺麗にシンクロし、なかなか感動的ですらあった。

 全体的に手堅い印象を受ける演出は、『ザ・クラフト』などのアンドリュー・フレミング監督。その流れでか、『ザ・クラフト』でヒロインを演じていたロビン・タニーがスティーブの部下として出演しているが、女性エージェントとしてはちと華がなかったかな。公開は6月5日より有楽町スバル座ほかにてロードショー予定。

 その後帰宅してみたら、ハマー全巻購入特典が到着していて…の記事に戻る(爆)。

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May 21, 2004

ハマー全巻購入特典到着したが…

 昨年SPOよりリリースされた“ハマー・フィルム怪奇コレクションDVD-BOX”の全巻購入特典、応募者全員プレゼントが過日届いた。その中身は、まず

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 これはBOX各巻に封入されていたオリジナルポストカードを収録可能なファイル。画像のうち、上は一昨年の1~4購入時のもので、今回5~8購入分が下になる。同じじゃないかって?いや、一応刷り込み文字が前回は金で、今回は銀。まぁ、100円ショップ商品ジャン感は同じなのだが、それについては前回友人たちにブーたれまくったので多くは言うまい(苦笑)。むしろ気になるのは、ポストカード・コレクションのNO.29~32分。要は商品本体に封入されていたものに使われたポスターとは、別絵柄のポスターのものということなんだが…

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 この『白夜の陰獣』と『蛇女の脅怖』のWフィーチャー版ポストカードは、前回についてきた奴と同じ絵柄なんですけど…。封入ミス?それとも、単なる手抜き?後者だったら、感謝の意を込めて…なんて送り状に書かれていても、全然納得できないよね。そりゃ、追加料金無しのサービスだけど、1BOX¥14400(外税表示前商品なんで税抜き-笑-)×4って決して安い買い物じゃないからさぁ。比べちゃいかんのかもしれないけど、1作品単価はワーナーホームビデオ発売作品の1.5割強増しなんだし。まぁ、怪奇映画好きにとっては、今時の若いホラー・ファンにとって最早それ何?状態かもしれない作品群を出してくれただけでも嬉い、それ以上はバチがあたる!的な気持ちが無いことも無いのだが…

 因みに、ワーナーホームビデオの方も『吸血鬼ドラキュラ』『フランケンシュタインの逆襲』に続くハマー作品のDVD発売が、8月6日に決まったようだ。ラインナップは、
『フランケンシュタイン 恐怖の生体実験』『帰ってきたドラキュラ』『ドラキュラ 血の味』の3枚で、内『~血の味』は国内版初ソフト化なのが嬉しい(その変わりか、1度LDは出ていた『ドラキュラ72』が外れているのが残念でもある)。

 最後に話を戻すが、もしこの全巻購入特典に応募していて、ポストカード・コレクション4枚の中にこれ以外の絵柄が入っていた人がいたら情報よろしくです。なお他の3枚は、『原子人間』(怪物の絵柄が全然実物と違うのがいとおかし)、『ドラキュラ 血のしたたり』&『ハンズ・オブ・リッパー』のWフィーチャー版、『燃える洞窟』でした。

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May 20, 2004

『好きと言えるまでの恋愛猶予』『ザ・ボディガード』『ディープ・ブルー』

 5月17日。この日はアートポート配給作品2本立てからスタート。まず1時から、東銀座の松竹試写室で『好きと言えるまでの恋愛猶予』。60年代のパリを舞台に、パーティで初めて出逢った時から互いに惹かれあった若い男女が、互いに想いを告げるまでの日々を描いたラブ・ストーリー。ヒロインのシャルロットを演じたセシル・カッセル(ヴァンサン・カッセルの妹)の、筋が通っていそうでありながら儚げな存在感がちょっといいかも。主役の美形風青年フィリップ役のマチュー・シモネは…野郎なんで興味が持てません(苦笑)。

 なお試写前に配給会社の方に聞いたところでは、『アンデッド』『MAY』に続くホラー作品として待機中だったロブ・ゾンビ監督の怪快作既知外スプラッター『HOUSE OF 1000 CORPSES』(原題)の公開が、8月シアター イメージフォーラムで決まったそうだ。邦題は『マーダー・ライド・ショー』。趣のある(笑)原題も悪くないが、作品のテイストとしてはこの邦題もありだね。来週以降試写がはじまるとのことなので再見(実はもう観ているのだ-笑-)したら、あらためて熱っぽく紹介したいと思うが、ホラー・ファンにとって要チェック・タイトルであることは確かだぞ。

 続いて京橋の映画美学校第1試写室に移動して、『ザ・ボディガード』(6月中旬・新宿シネマミラノ他全国ロードショー公開)を観る。組織のボディガードを務めるフランキー(シルベスター・スタローン)は、敬愛していたボスのアンジェロ(本作が遺作となったアンソニー・クイン)を守れず目の前で殺されてしまう。失意の中でフランキーは、アンジェロの娘ジェニファー(マデリーン・ストウ)を対立組織から守りぬくことを誓うのだが…という物語で、ポスター等のヴィジュアルは一見渋めの犯罪ロマンス風。だけど実体は、笑えないコメディだったという。まぁ、『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』の悪役みたく、いっちゃってる役どころならばいざしらず、普通に人間的な面白さを出すコメディの場合スライがいかに不向きかは『刑事ジョー ママにお手あげ』で痛いほど判ってたはずなのに。監督のマーティン・バーグは、『パワー・プレイ』『ラスト・カーチェイス』など男気溢れるドラマを得意とする人で、冒頭のフランキーとアンジェロの絡みの部分は、アンソニー・クインの存在感もあって期待させたのだが…。

 その後渋谷に移動し、6時から東芝エンターテイメント試写室で東北新社配給の『ディープ・ブルー』を観る。遺伝子操作鮫大暴れパニック映画の最新リメイク版…では全然無くて(笑)、海洋ドキュメンタリー作品である。個人的にはあまり得意とするジャンルではなかったのだが、40人のカメラマン、20の撮影チームが世界中の海を4年半の歳月をかけて撮影したという映像の数々は、流石のスケール感で圧倒された。フィルムに収められたものは、サンバにあわせて踊る(勿論BGMがってことだけど)コメツキガニの群れのようにコミカルなものから、シャチとコククジラ、白クマとイルカ等などのまさに生存のための戦いまで、実にヴァラエティに富んでいるので厭きさせない。個人的には、やっぱり群れの描写にワクワクさせられてしまったという。全体的には生命のよりどころである海を人間が破壊しつつある…というメッセージとは裏腹に、力強く生きぬいている生物たちの姿を観ていると逆に人間如きにどうにかされてしまうものでは無いと思わせるほどだったよ。勿論、実際の人間の暴挙はその生命力すら奪ってしまうほど、酷いものであることは承知の上でだが。公開は7月17日よりヴァージンシネマズ六本木ヒルズ他にてとのことだが、確かに夏に観るのが一番かも。

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May 18, 2004

『コンクリート』

『コンクリート』

 89年に綾瀬で起きた女子高生コンクリート詰め殺人事件の映画化作品…と言うよりも、2ちゃんねるなどを中心に展開した上映反対運動で、5月末からの銀座シネパトスでの上映を中止に追い込まれた作品と言った方が話が早いか。おかげで試写室は立ち見も出る混雑ぶり。僕自身は、そんな噂を聞いていたので、なんと開映45分前につくようにしたので、問題無く座れたけど。

 さて先の観る前の記事では、詳細は後日あらためてと書いたものの、正直作品自体に関してあまり多くを語ることは無い。有体に言えば、どうと言うこともないVシネ。状況は現在に翻案されてはいるものの、事件の経過自体は当時のニュース等で見聞きしたものに忠実なようだ。また、陰惨な事件の描写も、特別扇情的にエロ・グロを前面に出すような作りにはしていない。かと言って、作品自体が楽しめたかと言えばそれはまた別の話。かつてこの事件は、『オールナイト・ロング』シリーズ等の松村克弥監督によっても1度Vシネとして映像化されているが、事件自体に焦点を絞った松村版とは異なり、本作では作品の前半弱を主犯の少年が事件に至るまでの描写に費やしながらも、そこには犯人側への共感は当然にしても反感すら感じられない。青春映画としても舌足らずだし、ましてやそれが何を考えているのか想像もつかいない若者の姿を語っているようには見えてこないなぁ。逆に言えば観た作品自体は、上映禁止云々を叫ぶことすらナンセンスな感を受けた。むしろこうして騒がれなければ、衆目をひくこともなく終わったのではないだろうか。実際単館レイト上映が無くなっても、ソフト自体は6月に発売されるので、逆に反対運動はそれ自体がソフトの宣伝になっちゃったと思うんだけどな。

 2004年6月25日よりDVD発売予定。

(2004年5月13日・GAGA試写室(赤)にて)

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May 17, 2004

疑惑の弾痕!?

 ウホホ~ィ(死後)。なんと、『インフラマン』の中盤DVDには『蛇姦』の予告編が入ってたんだね。欲を言えば本編も観たいけど、これは予想だにしなかったラッキーだな!…つうか『北京原人の逆襲』も入ってるからほとんど「一つで充分ですよ」状態か??でも『APE』に予告編入ってなかったから、差し引きは0ってことで許してやろう(…って何を?)。

 と意味不明の前置きはおいといて、日曜は雨のそぼ降る中をやっぱりチャリで出発。まぁ、行きは途中から止んできたしで無問題。途中、浅草でお吸い者の方と接触してから、さらに川を二つ越えて青砥へ。その途中の古書店で、未見のビデオ『THE THING 未確認生命体U.M.A.』にちょっと心を動かされるも、帰りの荷物を考えると躊躇わざるを負えないのがちと悔しい。

 で、その名の通りベタに暮らしている男を訪問。とりあえず、非営利的(笑)業務連絡と指示をした後で、室内の様子をチェックする。思ったほどには物も無く、何か裏切られた感じ(爆)。でも実はこの男の場合実家がそのご近所にあるので、単に保管場所が二つに別れているだけだったりする。

 その後、彼のトイガン・コレクションを見せてもらい色々薀蓄を聞かされるも、それには適当に相槌をうってかわすと(失礼な奴-笑-)、早速自称“整理した部屋”にBB弾をぶちまける。トイと言っても、結構重量があり、また撃った時の反動もあるものなのね。近くから標的を狙っても、あたらない、あたらない…って単に下手くそなだけか>自分。んで、その成果がこれ。

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 標的の後ろのガラス引き戸に開いた虚空。あ~ぁ、やってもうたよ。しかも、ここの城主が、「BB弾だったら、ガラスは割れないから大丈夫」と太鼓判を押した直後の凶行だったりする。意地になってるのか?全くもって、悪戯なお子ちゃまなまんまやね、ハッハッハッ…て自分で言うなよな。なお、この引き戸は開いた(=2枚が重なった状態)にあり、後ろ側のガラスにもしっかり皹が入ってたという。修理代は、払うから連絡してね(苦笑)。色々御世話さま。

 因みに下が、何故かのレプリコーン。GAGAが結構昔に本作を含めたB級ホラーを特集上映した際に、入場者先着プレゼントで配られたもの。何故か僕の部屋には3体棲んでいる…と言う前に、写真撮るんなら埃くらい落とせって?ごもっともです。

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May 16, 2004

カウンターを設置してみた

 とうとう、雨が降り出したね。今日は横浜から、ほぼ東京を縦断したところに住む友人の家まで(しっかり片づけろよな!-笑-)チャリで行くつもりなんだが、どうなるかなぁ…。夕食時に見た天気予報じゃ、降るけどそんな大雨じゃない言うことだったと思うのだけどな。

 昨夕、amerioさんのblog「無意味なブログを検出しました!」で書かれていた、“ココログにカウンターを付けよう”を参考…というか、まんまそのまま実践させてもらって、スゴいカウンターを設置してみた。とっても判りやすく、助かりました>amerio様。

 その数字に、落ち込むのもなんなので(爆!)、とりあえず頁上には数値を表示させないタイプのカウンターを選択。無事、頁に張り付けることができたのだけど…未だにカウンターに変化無し。悪友に電話して、設置後にアクセスしてもらったし、0のままということは無いはずなのだが。

 一応、スゴいカウンターのFAQ頁には、登録後すぐには反映されないことがあるとの記述があったけど、すぐってどのくらいの期間なのだろうか?とりあえず、しばらく様子見かな。

 …とアップした直後に確認に行ったら、ちゃんと動いてました。お騒がせしました。さて、見方を覚えなくちゃ。

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May 15, 2004

観直したら滅茶苦茶面白かった『エージェント・コーディ』&中国映画二本『愛にかける橋』『思い出の夏』

 すんません。コピペをミスって、後半部分上がってませんでした。追加しました(0:30)

 実は前の晩(…って11日の晩なんですけど-自爆-)、横になってしばらくうとうとしたかなぁ…と思ったら、何故か急激な寝汗が出て、その後は眠れなくなってしまった。久々に、チャリで爆走したせいか?それとも久々にアルコール摂取を断ったせいか?(…って後者だったら、単なるアル中みたいジャン>俺…まぁ、前者でもよくはないのだが)。

 そんなこんなで、本当の朝方2時間程度眠ったか?どうかなぁ…くらいの状況で起きた5月12日だが、スケジュール的には今日も試写3本立て。なんか、この状況だと行っても眠ってしまうだけになりそうな予感がしなくもないが、内2本は最終試写なんで予定を変えるわけにもいかなかったという。大丈夫か?

 で、まずは午後1時からTCC試写室で『エージェント・コーディ』を観る。15歳平凡な少年のコーディは、実は13歳の時にCIA主宰のエージェント養成サマー・キャンプを見事にパスしたティーンエイジ・エイジェント。そんなコーディに初めての任務が下される。悪の組織“エリス”が世界潰滅計画を進めており、それに協力させられている科学者の娘ナタリーに近づき、情報を探れというものだ。だがコーディーは、女の子の前ではあがってしまい上手く喋れなくなり、「頭フリーズしてるの?」とか言われちゃうような純情少年だったのだ。そんな彼に、果たして任務は遂行できるのか?

 実は作品自体は、日本公開が決定する半年以上前に実は1度観る機会があって、この日が二度目の鑑賞。正直初見時の印象は普通…つうか、自分的にはあんまり燃えなかったんだよね。自分的に『スパイキッズ』シリーズとかが大好きなんで、なんかその薄味な後追い企画(このテーマ自体は、91年に『ハリーとヘンダーソン一家』などのウィリアム・ディアが監督した『ティーン・エージェント』なんて佳作もあるんで、『~キッズ』が元祖というわけでもないが)って感じを受けちゃってね。

 で、今回あらためての再見だが、実は先の印象が嘘のように面白さを堪能したのでかなりびっくり。メカや様々な描写において想像力を働かせられるものならば、お子ちゃまの夢を実現性の可否は問題とせずにストレートに映像化していた『~キッズ』に対し、本作はというと勿論荒唐無稽なお話ではありながら、登場するメカなどは実在する最先端のもの及びその延長線上にあるものなのね。そういう意味では、007系スパイ映画の意匠という意味では、本作の方が正統派。初見時には『~キッズ』に引き摺られる形で、地味な印象を受けてしまったんだけど、両者の落し所と面白さは全く別の部分にあったのだよ。だから、単純な比較をするのは全くのナンセンス。反省してますとも>自分(苦笑)。

 コーディの出で立ちも、紆余曲折の末招かれたナタリーの誕生パーティーではパリッとしたブラック・タキシードで決めてみせ、名乗り方もいかにもエージェント。また、エリスのアジトがある雪山でジェットスキーで追撃する追っ手と、ジェット・ボードでかわすコーディが展開するスノー・チェイスの場面もまさに王道を行く楽しさ。さらに潜入するアジトの中が、いかにも秘密基地感覚が全開なのが実に嬉しい。

 主人公のコーディを演じているのは、『マイ・ドッグ・スキップ』で主役をつとめたフランキー・ムニッズ。運動神経、知力などでは大人顔負けの能力を持ちながら、女の子の扱いはからっきしで、妙に余裕のなさげな少年スパイ像を等身大の魅力を発しながら好演。BMW製スケボー“ストリート・カーバー”での活躍シーンなどもあることもあって、第二のマイケル・J・フォックス的な言われ方もしているようだが、それって結構納得かも。

 また、コーディをサポートするロニカ(『デンジャラス・ウーマン』などのアンジー・ハーモン)が、スタイルのよい肢体をジャンプ・スーツに包んでの立ち振る舞いなんかもやっぱり往年の女スパイ像を連想させてくれる。また、オヤクソクではりながら、最初はコーディに対して「私は貴方の調教師」と言い放っていたロニカとコーディの関係が、世代を超えたパートナーへと発展して行く姿も心地い。

 アメリカでは、この春早くも(…って日本での公開が遅いんじゃん)シリーズ第2弾が完成。そっちも是非、スクリーンで観たいので、これは大きくプッシュしておこう(笑)。6月5日より銀座シネパトス他にて公開予定とのこと。

 その後映画美学校第2試写室に移動して、中国映画2本を続けて鑑賞。これは現在三百人劇場で開催されている“中国映画の全貌2004”で上映されているもので、この後5月29日より新宿 K's cinemaにてロードショー公開されるものだ(両作品入替制)。

 3時半からは、ウィーンに留学した中国人男性と恋に落ち、激動の中国に嫁いだ実在のオーストリア女性の生涯を描いた『愛にかける橋』。もともと、その女性に関するドキュメンタリーが中国で放映され、それを観た女性プロデューサーが映画化を企画し、中国の女性監督フー・メイが監督したとのこと。製作体制は題材に則ったように中=墺合作作品で、ヒロインのファニーにはオーストリアの新人女優ニーナ・プロルが、彼女が愛を捧げたマーには『始皇帝暗殺』のワン・チーウェンが演じている。

 物語は、1931年のウィーンで幕を開け、日中戦争、中華人民共和国建国、文化大革命と激しく移り変わる中国の歴史を背景に、異国の地で豊とはいえない日々を送りながら、夫との愛を貫き、たくましく生きたヒロインの姿が、時間的に大きなスケールで描かれている。そのあたりの描写が丁寧なので、老いたヒロインの「生まれ変わっても、もう一度同じ生活をする」という言葉が、結構胸に迫ってくる。

 続いて6時半からは、『思い出の夏』を観る。勿論、年上の女性と少年の一夏の体験を描いた作品…ではない(それは『おもいでの夏』)。中国の寒村に、映画の撮影隊がやって来る。撮影隊は、その村の子供たちの中から一人を選び、映画に出演させたいという。小四の少年ショーシェンは、映画に出たいが勉強の遅れを理由に先生から認めてもらえない。しかしひょんなことから、彼に出演の機会が回ってきたのだ。教科書は覚えられなくとも、シナリオは見事に暗記するショーシェン。しかしいざ撮影がはじまると、彼はどうしてもある台詞が言えなくなってしまい…

 広々とした田舎の光景は、観る者を圧倒しそこに懐かしさを抱かせる。しかし、そこに暮らす人々は経済的に豊な生活が送れる都会での生活を渇望している。経済的なことよりも、もっと大事な豊かさ…なんてのは、やはりそこに住んでいないものの勝手な郷愁なのかもしれない。そうした点でも、単に純朴さとか郷愁とかでは済まさない独自の視点を持った作品になっていると思う。監督は、本作がデビュー作となるリー・チーシアン。

 なお、主人公のショーシャンを演じたウェイ・チーリンは、これまで演技経験の全く無い農家の少年で、また登場する役者の大半はロケ場所で出会った役者と、キャスティングに関しては、作品を地で行くような形が取られているそうだ。

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May 14, 2004

“発狂”の原点『強奸監禁座敷牢』(18歳未満は読まないように-笑-)

 書きかけの一昨日分、及び昨日分の試写は後回し(…って、最早いつものことか-苦笑-)で、試写終了後のお話。なんかどんどん試写で観た作品がたまって行くような気がするが、これはこれで、このblogの後者ネタなんで無問題(笑)。夜、知人にご馳走になっているうちに、外は雨。流石に今日はゴアテックスのレインウェアを用意してあったので、そのままチャリで家路につく。その大半は、雨粒よりも向かい風が強い状況だったのだが、丸子橋を越えたあたりで一時雨足も強くなる。それで雨宿りの名目で、これまでも度々ここに登場したJR南武線沿いの“ビデオ販売武蔵中原”を覗いて見ることにする。驚いたことに、店内の¥300均一ビデオが随分減っていた。この減り具合は絶対普通に売れたものじゃなくて、店側の判断で店頭から引き上げた気配が濃厚。そんなこんなで、前回2回のような普通のファンタ系作品の出物との出会いは最早望むべくもなさそうな状況だったが、AVまではいかないH系ビデオ作品の棚に、こんなんがあったんで速攻ゲット。以下、今回は18禁なので、未満の方はここまでで戻るように(爆笑)。

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 『強奸監禁座敷牢』98年に製作された成人指定のVシネ作品。AV監督のもとに彼の大学時代の先輩から1通の手紙が届く。その内容は…

 大学で研究を続けていた男は、東京の大学に勤めるため、妻を伴って東京郊外の1軒屋に移り住んだというのだ。ところがマンションが出来るまでの仮住まいとして入ったその古ぼけた家には、座敷牢があったのだ。薄気味悪がる妻だが夫はそれを相手にせず、病弱の妻の世話をする夫の恩師の若い娘と3人での生活が始まった。ところが、彼らの生活に暗い影が忍び寄る。浴槽に浮かぶ長い黒髪。座敷牢の格子越しに伸びる白い手。薄気味の悪いうめき声。そして家の中に現れる憲兵服を来た男。さらにこの家に来てからというもの、夫は人が変わったようになり、夜毎に妻を残虐に責めたてる。
「子宮がちぎれるぅ…。心臓が止まるぅ…」
妻に同情した娘は、夫に
「どうしても我慢できないなら、私の体を打ってくださいぃ~」
と身を差し出すと、その日から夫の性欲の対象は女に変わって行く。そんな苦しい日々の中で、妻と女はこの家の以前の持主の日記を見つける。そこには、持主であった憲兵とその妻、そして憲兵の若い部下の男の、忌まわしい日々を知ることになる。すると、夫にはその憲兵が取り憑いているのか?

 ということで、勿論作中にはエロ描写は出てくるが、本筋はきっちり怪談として成立しているんだよね。物語は日記に描かれた内容として戦時中の出来事を本編中ほどに挿みながら、彼らを襲った怪異とその真相を究明していく。そう怪談には、一度は合理的な解釈が加えられ、全てが明らかになったかのように思えたのだが、最後の最後に…という結末がしっかり用意されている。まぁ、監禁エロものと言えば、Vシネ作品の王道の一つだが、それにこのような本格猟奇怪談作品に仕上たのは誰か?『発狂する唇』の佐々木浩久監督(脚本も)なのだ。時期的には『発狂~』の直前で、この頃佐々木監督は4本のエロ系Vシネ作品を積極的に撮っている。この頃の経緯に関しては、鷲巣義明氏CINEMA TOPICS ONLINEで行ったインタビューに詳しいが、その一部を引用すると佐々木監督曰く、「でもH物とかは、お金が無くて、出演する女の子の演技もひどいですが、制約が全くないんで……なにやってもいい状況にあるんです」ということで、意欲的にやりたいテーマ、様々な演出手法に取り組んでいたということである。そして、その4本目であり、恐らくそれまでの一区切りとなったのが本作であり、それが発展開花したのが『発狂する唇』なのである。ってことで、『発狂する唇』『血を吸う宇宙』のDVD画像をどうぞ。

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 つうことでソフト現物を手に入れたので、久々に観返した 『強奸監禁座敷牢』だが、『発狂~』ほどの発狂ぶりこそ未だないが、その魅力は先にも書いた通りかなりストレートに現代怪談に挑んでいて、先達への思い入れもそこここ見受けられるということか。怪異と思われていたのが実は…という展開は、監督自身が先のインタビューで語っているように『怪奇大作戦』にも通じるニュアンスが感じられるし、憲兵というのも『発狂~』の原イメージ大蔵映画の世界のさらに前身である新東宝が度々扱ってきたものだ。そして近作『怪談新耳袋~家紋』では、そんな憲兵ものの1本『憲兵と幽霊』を撮った怪談映画の巨匠・中川信夫監督の幽霊描写の再現を試みていた佐々木監督だが、本作の幽霊描写も原色系の照明効果にそのリスペクトぶりがよく出ている。その一方で、プロローグとエピローグでの語り部たるAV監督の件では、ヴィデオ画面に映りこんだ女の影など、最近の心霊ホラーのテイストもきっちり抑えているのが嬉しいね。

 なお、憲兵役で“発狂”シリーズの当麻こと下本史朗がこっちでも怪演ブリを楽しませてくれるほか、音楽もシリーズのゲイリー芦屋だったりするんで、やっぱり“発狂”ファン、ホラーファンには要チェックの1本だよ。案外その素性を隠したまま(…って言われなければ、やっぱ気づかないっしょ?)、H系として案外レンタル屋の店頭に未だ残ってたりするのかも。とりあえず、都内及び近郊在住の人向け情報として渋谷のQフロントTSUTAYAの佐々木監督の棚にあったことは書いておこう。僕の初見は、そのソフトでした(笑)。

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May 13, 2004

モブログのテスト

ようやくモブログの設定をしたので、使ってみることにした。

これが上手く行くようなら、更新がスムーズになるのか?でも、こうしてピッチで文章を入力するのは年寄りには不向きかも。だからそうチョクチョク使うことも無さそうだけど…

この後1時半から『コンクリート』の試写だ。詳細は後日あらためて。

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May 12, 2004

試写復活!『家族のかたち』『穴』『トロイ』

 5月11日。久々の外出を天が祝してくれたかのようで(笑)、外は上天気。陽射しはそこそこ強かったけど、からっとしてて風も穏やかでチャリを漕ぐには絶好の陽気。そこそこの距離を走るのは10日ぶりだったが、こんなに走れていいの?ってくらいペダルも軽い!?(大袈裟)。今日のスケジュールでは1本目と2本目の間の移動が、京橋から大崎広小路までを45分以内に移動ということで若干余裕がなさそうな感じだったのだが、実際行きにその間の走行時間をチェックすると、ほぼ30分ということで、満員!とか突然の雨!とかなければ、問題無く動けそう。

 午後1時からはメディアボックス試写室で『家族のかたち』を観る。原題は『Once upon a time in the midlands』。『~ in china』『~ in america』等、ヒーローやアウトローを主人公にした時代物が多い『Once ~』原題だが、本作は英国のミッドランドの小さな町ノッティンガムを舞台に、ヒロイックな行動とは全く無縁の人々の恋愛と家族の絆についてを笑いの要素を散りばめながら、共感を持って描いたウェルメイドなドラマである。『ノッティング・ヒルの恋人』とか『フル・モンティ』とかとの流れにも近く、最近の英国映画では当りの多いジャンルだがこれも面白かった。

 恋人のシャーリー(シャーリー・ヘンダーソン)とその娘マーリーン(フィン・アトキンス)と家族を築くことを夢見ておる男ディック(リス・エヴァンズ)は、テレビの公開収録番組に出演中のシャーリーにプロポーズをするが、動揺したシャーリーに断られてしまう。落ち込むディックだが、ことはそれだけでは済まなかった。実はシャーリーには、彼女のもとを去ったチンピラの夫ジミー(ロバート・カーライル)がいたのだが、たまたまこの番組を見てしまった彼が、シャーリーと縁りを戻そうと町に戻ってきてしまったのだ。

 ディックはささやかながら車の修理工場を経営している常識人。気は優しく、マーリーンからもジミー以上に好かれていたが、自分に自信が持てない臆病者。一方のジミーも、今回も強盗をして逃げてきた一見クールなワルながら、未だにシャーリーに深い愛を注いでいるように見える。イジマシク、またクールにシャーリーの争奪戦を繰り広げる二人だが、実は駄目男という意味では二人とも同じなのだ。このタイプの違うダメ男ぶりを演じる二人の俳優が実にいい感じなのだ。これまでの作品では、結構凶暴性(笑)という点ではキャラの被ることが多かった二人だが、今作ではリス・エヴァンズが最初は情けない平凡な男ながら、逆境の中自分自身を見つめ愛の本質を知って行く姿を人間性を滲ませながら演じていて新境地といった感じである。一方のロバート・カーライルは、『フェイス』などとも通じる表向きにはクールな犯罪者というキャラクターがばっちり似合っていながらも、シャーリーに対する愛の自分でも気づいてなかった本音が、モラトリアムな自分にはとっても痛かったりする駄目男ぶりで、なんとも愛おしい。実際、この二人に限らず、偉そうなことを言ってみても、本質的には欠点の多々ある大人たちの姿への、作り手の温かい眼差しが、観ていて胸を熱くしてくれるんだな。同時に、ビンゴ以外は何の楽しみも無い退屈な町の様子と、人々の些細な生活描写が、可笑しくも感動的なのだ。

 監督・脚本のショーン・メドウスは長篇デビュー作『トウェンティーフォー・セブン』が日本でも公開されている若手で、本作が第3作目。デビュー作はタイプ的には本作とは異なる作品だったらしいけど、本作の的確な語り口に接すると俄然このデビュー作も見てみたくなってきたぞ。

 なお、この作品は7月10日よりシャンテ シネにてロードショー公開予定とのこと。

 その後は最初に書いたように大崎広小路まで戻り、KSS試写室で『穴』を観る。KSSの配給で、4人の監督がタイトル通り“穴”をテーマにした20分強の短編を競作したファンタ系オムニバス作品。

 上映される順番に紹介すると、最初が佐々木浩久監督のホラー篇『胸に開いた底なしの穴』。佐々木監督が自分の作品らしさの刻印だと自ら公言している三輪ひとみ(しかもゲロ吐き有りの血飛沫浴びまくり!)諏訪太郎(当然女を犯す…今回はひとみ嬢じゃないけど)がばっちり揃い、『ブルーベルベット』に大蔵怪談(またまた“異人”だよ-笑-)が混入してみたいな不条理感の横溢する現代ホラー。『発狂する唇』とかが大好きな佐々木ファンには、非常に納得…つうかでも逆に、驚きはないかも。

 二本目は本田隆一監督の『青春の穴』。殺した男の死体を埋めに森の中に入っていった3人のギャングが体験した奇妙な顛末を描いたもの。ゆうばりファンタ2001でオフシアターグランプリを受賞した『東京ハレンチ天国/さよならのブルース』に比べると、きっちりした商業映画になっている。とぼけたギャグのカマシ方もばっちり決まっているし、個人的にはノーチェックだったことも手伝って(失礼)今回の4本中ではベストかな。

 三本目は、証券会社をリストラされたうだつのあがらない中年男が、夢の中で自分の人生の岐路…高校の野球部時代に好きだったマネージャーを同じ野球部の友人に譲ってしまった…を変えようとすると…という時間ものもしくはリプレイものファンタジーの『夢穴』。テーマとしては個人的に嫌いじゃないタイプのいい話系なんだけど、受ける印象はむしろあまりにも“都合のいい”話で興醒めかな。そのいい話が、無限の悪夢に繋がることを感じさせたかったであろうラストも、イマイチ迫って来るものがない。監督は『千里眼』等の麻生学

 そしてトリを飾るのが『地獄甲子園』等の山口雄大監督による『怪奇穴人間』。ふとした科学事故で、緑色の大男…じゃなくて穴から穴へ移動する能力を持ってしまった科学者が、帝都を震撼(いや、爆笑か)させるお話。穴人間の能力の見せかたのベタな可笑しさは、いい意味で山口監督らしさを感じさせたが、穴人間の哀しさ(笑←矛盾)に迫っているあたりは、東宝変身人間シリーズの匂いも漂っている。画面も暖色系を排したダークな感じがいい感じ。なお、事件の謎を追うのが何にでも変装できる名探偵一日市肇(坂口拓)ということで、山口監督・坂口主演コンビで自主製作作品として作られてきた“名探偵一日市肇”シリーズの最新作でもある。

 4本全てビデオ撮りで、見るからに低予算作品ではあるけれど、それぞれの監督の個性とバラエティに富んだ各エピソードの内容は、ジャンル・ファンなら一見の価値はあると思う。7月ユーロスペースにてレイトショー公開とのことだ。

 『穴』終了後は、再びチャリをこいで有楽町へ。この往復だけで約20キロなので、今日の走行距離は60キロを超えるだろう。コンビにで夕食を買い、そよ風の心地よい日比谷公園で食べた後、丸の内ピカデリー1へ。7時40分から『トロイ』の完成披露試写を観る。本編上映前に、ワーナー新作予告編が3本流れ、その中で『キャット・ウーマン』の予告編は初見。ハル・ベリーのキャットウーマンって、『バットマン・リターンズ』のミシェル・ファイファーより、肌の露出度高めなんだね。でもこうなると、なんかマスク有りエレクトラって感じがしなくもない。あっ、でも露出度を抑えると、それはそれでマスク有りストームになっちゃうのか。本人だし(笑)。監督が『ヴィドック』のピトフというあたりが、個人的にはちと不安でもあるのだが、来年のお楽しみの1本ではあるな。

 で、『トロイ』だが、素直に楽しめるブロック・バスター作品だった。確かにドラマとかにはあまり深みは感じられないが、観客に2時間43分の上映時間を全然感じさせない面白さ&テンポのよさは、ヴォルフガング・ペーターゼン監督の流石の演出術といったところか。海原を埋める大船団、トロイとギリシャ両軍の壮絶な合戦場面、作られる前は「こんな材料で、どうやって?」感(でも、入手できる材料という点でのリアリティは高い)バリバリだが、完成した威容は結構納得な“トロイの木馬”等、スケール感もばっちり。 

 剣戟アクションもアクション無しという(流石は『ファイトクラブ』出身(笑))ブラッド・ピット演じるアキレスが、流石に美味しい部分をさらって行くが、逆に言えばオーランド・ブルーム演じるパリスの、駄目男ぶりも印象には残るかな。この日は、『家族の~』のリス・エヴァンズに続いて、こっちも駄目男の復帰作品になってるのかなぁ…と思いながら観ていたら、見事に最後まで駄目なままだった。印象には残るけど、こんな役をよく受けたよなぁ。

 とりあえず、この日は試写3作品とも自分的にはOK!だった。明日以降もこんなペースが続くことを期待だな(…ってこれ書いてるのは、既に明日(12日)分まで観終わったところだけどな-苦笑-)。

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May 10, 2004

とりあえず…

 なんとか入稿。1日だけ予期せぬ出来事があったけど、自分で決めた締切を1週間以上オーバーでちょっと鬱。でも、終わったんだから気を取り直して(笑)とりあえず、明日からは外出するぞ。一応、久々の3本立てをする予定。

そうだ、忘れないうちに、幼児の住んだ…じゃなくて用事の済んだTBSチャンネルも解約手続きを取んなくちゃな(笑)。

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May 08, 2004

『RE-ANIMATOR 死霊のしたたり3』

 待望…だったかどうかは結構微妙かも(笑)…のスプラッターシリーズ第3弾のDVDが、本日到着!ということで、まずは前フリとしてシリーズ各作品のジャケ写をどうぞ。

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 左が、シリーズ1作目『ZOMBIO 死霊のしたたり』(85)の廃盤VHSビデオ。一応原作はH・P・ラブクラフトの「死体蘇生者ハーバート・ウェスト」だけど、主人公の名前と死者を甦らせる禁断の実験というアバウトな設定以外では、あまり原作の持ち味は残っていない。じゃぁ、駄目かといえば、ラブクラフティアンな方ならそうかもしれないが、そこに拘り過ぎないスプラッターファンには、本作がデビュー作となるスチュアート・ゴードンの演出の冴えもあってポップでブラックな血みどろ絵巻が実に心地よい快怪作。ジェフリー・コムズ演じるウェストのぶっとび具合もいいが、このジャケットにもなっているドクター・ヒルの生首クンニが多くのホラー・ファンのハートを鷲掴みにしたものである。現時点では、この第1作目のみが日本ではDVD未リリース。発売告知をしてからもう随分たつけど、一体どうなってんのよ?>ハピネットピクチャーズさん。

 右が第2作『死霊のしたたり2』(89)の国内版DVD。監督がゴードンから、前作では製作を担当していたブライアン・ユズナに変わり、前作のラストで死んだとしか見えなかったウェストがしっかり生きていて、今度は女の体の部分部分を繋げて作ったゾンビ花嫁を甦らせるという原題どおり『フランケンシュタインの花嫁』を気持ち匂わせる物語。出来そのものは正直前作に比べ、平版でワクワク感にかける仕上がりだったけど、後半に出て来る継ぎ接ぎゾンビの群れは結構素敵だったなぁ。

 そして14年ぶりに作られたシリーズ最新作が、画像中央の『RE-ANIMATOR 死霊のしたたり3』(03)である。監督は2作目に引き続きで、撮る作品の大味ぶりがほとんどホラーファンの間から「ユズナっぽい」の一言で片づけられてしまう(苦笑)ブライアン・ユズナだ。そこいらへんが、待望ということを憚らせた部分だが、それでも新譜で注文してしまったのは、やはり1作目のインパクトから来る期待が一つ。それと、本作が今活きのいいファンタ系作品を連発しているスペイン映画界とユズナが手を組んだファンタスティック・ファクトリーの作品であるということ。結局、やらなければ行けないことがあったのに、届くや否や観ずにはいられなかったという。

 で結論…エンド・タイトルは爆笑!一発ネタみたいなもんなんで、ここには書かないけれどそこだけでもレンタルする価値はあり(笑)。くっだらねーぞ。

 …って流石にこれだけじゃなんなんで、もうちょっと書いておこう。物語は13年前、少年が目の前で姉を惨殺されるところから幕を開ける。殺人者は、顎のない狂人風の男で警察に射殺され、その直後に少年は一人の男が警察に連行されるのを目撃する。男は緑色の液体の入った注射をその場に落していった。

 それから13年後、アーカム重犯罪刑務所に若い医師が赴任してくる。医学の心得があるからと、そこに収監されていたウェストを助手に指名したその新人医師こそ、ウェストの蘇生者に姉を惨殺された少年だった。彼は、姉をなくした悔恨の念から、医学のためにウェストに研究を再開するよう申し出て…

 2作目のラストでも、彼の蘇生者の群れと共に墓地裏の地下に埋もれたかに見えたウェストだが、まぁそれはオヤクソクということにしておこう。一応、13年という時間経過は2作目とのインターバルとほぼ合致するし、連行されるのが墓地の近くだったり、医師との会話で「昔相棒に裏切られた。女には気をつけろ」なんてウェストの会話が出て来るあたりは、2作目を受けているといえるのかな。でも、劇中登場する事件記事のウェストの写真は1作目のものだけどね。

 実は収監中も、材料が無い中でネズミ等を使って実験を続けていたウェストだが、若い医師の協力をこれ幸いとばかりに本格的に実験を再会する。なんでも長い獄中生活で、蘇生薬により起きる凶暴化現象を抑えるには、ナノ…なんだっけ?忘れた(笑)とかいう脳内に発生するパルスかなんかが必要で、それを得るには生きた人間からぬくしかない…って、結局一人生き返らすには一人の命を犠牲にしなくちゃならない。駄目じゃぁ~ん。でも、ウェストは兎に角成果を出したいだけだから、研究に没頭する。流石は既知外博士だよ。これに、サシスティックな刑務所長、取材にきて医師と懇ろになりながらスクープ求めて危険なんか気にしないわの女記者、ネズミだけがお友だちの凶暴な囚人、信心深くて自分の罪におののくきもい囚人、薬中囚人などを巻き込んで、物語は囚人暴動とゾンビ地獄になだれこんでいく!

 …というのは、嘘ではないがかなり大袈裟である。広告だったらJAROに怒られちゃうかもしれない。それなりにトリッキーなキャラをそろえた展開は、ユズナ作品としては悪くない方だと思うけど、囚人暴動以降がもう一つ盛り上がりにかけるんだよね。

 例えばサディスティックな所長はゾンビ化したあと、ウェストを殴り倒し蘇生薬を強奪すると、囚人に注射しゾンビ化させるのだが、これが他の囚人を襲うのかといえばそうではなく、「死刑は苦痛が一瞬で終わる、こいつらには長い苦しみを味あわせたい」といって、ゾンビ化させて首吊りにし苦しみ続けるところを楽しむのである。所長の残忍さを出す描き方として、発想は面白いけど、やっぱ生きた囚人VSゾンビ囚人の群れを見たいと思うでしょ。SWATだって鎮圧にやってくるわけだし(…って俺だけ?)。全体的に、スプラッター描写は抑え目で、看護婦のはだけた乳房にゾンビ囚人が喰らいつくオヤクソクの場面も、そのものは映さない。別に、見せないことで、観客の想像力をかき立てる類の作品でもないし、これってどうなのよ。一応、特殊メイクの筆頭は、ユズナとは縁浅からぬ大阪人、スクリーミング・マッド・ジョージなんだけど、彼の持ち味のグロテスク・シュールな造形物があまり出てこないのはちょっと残念。

 ウェスト役のジェフリー・コムズはやっぱり思いっきり老けたね。でも責任感無し、百年一日のごとく行き当たりバッタリで実験を続けるその姿は、やっぱり観ていて清々しい(ちょっと日本語間違ってる気もするが)。それに対して、若手医師って姉を殺されて云々の過去を引き摺って、実験に協力した輩であるにも関わらず、どうにも中途半端で煮え切らないキャラクターで魅力薄。大体、そこまでの経過を踏まえた上で、ウェストの研究が有用だと考えたのはバカ過ぎ…最後に自覚したって、当たり前ってもんである。

 ユズナ、コムズ、マッド・ジョージそしてメイン・テーマのリチャード・バンドをのぞくと(音楽も新作は別人)、スタッフ・キャストともほとんどがスペイン人。確かに、ラテン系の顔立ちが多かったような気もするが、特別スペイン映画らしかったわけではない。まぁ、これはシリーズ作品の3作目ということもあるんだろうけどね。

 期待して無いようで、それでもやっぱり期待していたのか(苦笑)、色々書いてしまったが、それでも最近の新作未公開ホラーではそこそこの作品だと思う。僕のようにいきなり買うことはお薦めしかねるが、ホラーファンならレンタルしていいと思う。

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May 06, 2004

『ザ・コア』DVD今さら判っても…大ショック

 本当は2週間前に試写で観た『友引忌』の話を書こうと思っていたのだが、それはもう数日先送り(公開7月だし)にして、ショックだったこと等を。

 今日も今日とて、引き篭もり状態。煮詰まって久々に“DVDsoftを通販で安く買おう”を覗きにいったところ、隠しコマンド頁『ザ・コア』が追加されていた。紹介によれば、別の予告編とある。実際、通常メニューの予告編集はオリジナル版2ヴァージョン(シャトル場面の有りと無し。本国では宣伝期間が、あの事故と重なった)と日本語版予告編1つの3本構成。まぁ、日本劇場版については少なくとも本予告より短い特報版があったことは知っていたし、それは公開前にGAGAから送られて来たPVで持ってるので、その情報を読んだ段階ではそんなに焦らなかったのだ。

 で、実際に情報に従いイースター・エッグを拾いに行ったら、特報だろうという勝手な憶測をあっさり裏切って、日本版TVスポットが15秒&30秒×2の4ヴァージョン収録されていたという。短くもポイントになる画がいい按配に配置され、なかなか燃えます!

 だけどさぁ、個人的には今判っても、もう遅い(苦笑)。しばらく前に、地殻・地震系作品がそこそこたまったなぁ…と思って、趣味の予告編ビデオ<パニック映画篇>を作り出してしまったのだ。現段階で、18作品で64分。んで、よりによってトップに来てるのが『ザ・コア』だったりする。僕の場合、ハードディスクレコーダーなんて高級品はまだまだ持ててませんので、作業はリモコン片手にモニターとにらめっこ。実にプリミティヴで、ものすごく時間がかかったりするのだ。

 そんなわけで、今から『ザ・コア』のTVスポットを予告編の後ろに入れるとなると、1時間近くを録り直さなきゃならない。それって、あまりに大変で、僕ちゃん可愛そすぎ。まぁ、別のテープに『ザ・コア』だけを新規に録って、その後ろに今できているものを被せるという手もあるけれど、画質の劣化を考慮すると、やはりなるべくファースト・コピーにしたいんだよね(苦笑)。

 だからすうごくショックで悔しいけれど、多分このテープにはこのスポットは未収録だな。なんか、隠し特典情報頁の更新日を見たら、作業をしたしばらく前だったのが、ますます口惜しい。

 DVDメーカー各位様!予告編・スポット等を沢山入れてくれることは素直に嬉しいっす。嬉しいのだけれど………こういう意地悪はやめてよ(泣)。

 因みに、18作品64分の内容は

 1.ザ・コア(オリジナル版予告編2、日本版特報・予告編・PV)
 2.ディープコア2000(日本ビデオ版)
 3.ディープコア2002(日本ビデオ版)"
 4.大地震(オリジナル版)
 5.ロサンゼルス大地震(オリジナル版)
 6.L.A.大震災 (オリジナル版・日本ビデオ版)
 7.アースクエイク(日本ビデオ版)
 8.シェイクダウン (オリジナル版・日本ビデオ版)
 9.サンフランシスコ大地震(オリジナル版)
 10.ニューヨーク大地震 (日本ビデオ版)
 11.アフターショック ニューヨーク大地震(オリジナル版・日本ビデオ版)
 12.ラ・タービュランス(オリジナル版)
 13.地震列島(特報、予告編2)
 14.日本沈没(特報、予告編)
 15.ドラゴンヘッド(特報4、予告編、TVスポット8)
 16.ボルケーノ(オリジナル版)
 17.ボルケーノ・インフェルノ(オリジナル版)
 18.ダンテズ・ピーク(オリジナル版)

 笑っちゃうのは、違う作品なのに同じ災厄場面が出て来るものが、3本4本は当たり前!な状況ね。そこそこお金のかかった作品のフッテージが、別の場所・シチュエーションとしてシレッと使われてるのよ。この後、火山ものをもう2本入れたら、隕石系に移る予定。個々の作品は駄目なものが多いが(笑)、こうして破壊の映像を続けて観るのって実に快感だ(でも、大体友人に観させると、厭きるようだが-苦笑-)。

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May 05, 2004

3キロ……

 チャリの走行距離で言えばなんてことは無い数字だが、これって別の局面ではとっても衝撃的でずっしり圧し掛かって来る数字だったりする。

 家でやらねばならないことがあったし(終わってないけど…泣)、幸か不幸かGW後半は天候もあんまりはっきりしってなかったので、2日から5日までチャリに乗らなかった。おまけに外に出ないと、昔に比べりゃ押さえていると言ってもつい間食しちゃうし、気がついたらアルコールを摂取してたりという人間止めますか状態。それでさっき、4日ぶりに体重を量ったら、見事にタイトル通りの贅肉がついていたようだ(^^;;;;。

 なんだかんだ言いながらも、これまで2・3日ごとにはそこそこの距離を走っていたし、表向きには「2・3キロはすぐ増減するから数字のうちには数えないの!」なんて嘯いていたのだが、この数字は結構ショックが大きいっす。鏡を覗くと、また輪郭が真丸になってる気がするし、なんかこれまでと違って、チャリに乗らなくてはならないという強迫観念がムクムクと湧き上がって、なんだかとっても落ちつけない今日この頃…来週は走るぞ!

 なお5月1日の段階で、プジョーの積算走行距離は、2550キロを突破!

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May 04, 2004

葛飾から来た男さんのblog

 なんだいつの間にか初めて、しっかり更新してるじゃん。だったら、某所も折角お金払ってるんだから復活させようぜ…と言うのは、人のことを言えない危険性を秘めているのでおいておく(爆)。

 というわけで、葛飾から来た男さんもblogをはじめたそうなので、ここでご紹介。映画・サントラ・銃・秋葉などに御興味のある方、及び身内の方(爆)はお気に入り登録するよろしあるね。

 我楽多の城 城主の呟き

 それにしても、この女優ネタ。ご本人も例外はあるとおっしゃっているが、あまりにもリン・フレデリックが異色過ぎ(笑)。

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May 03, 2004

『ヒッチハイク 溺れる箱舟』

『ヒッチハイク 溺れる箱舟』

 公式頁のイントロダクションにあった「イタリア映画の傑作「ヒッチハイク」(77年 フランコ・ネロ、コリンヌ・クレリー主演)にヒントを得て…」の一節に俄然興味が湧いてしまったという(苦笑)サスペンス・ロードムービー。北海道に単身赴任中の夫(寺島進)と、久々に再会を果たした…しかしその仲はすっかり冷え切っている妻(竹内ゆう紀)が、たまたま一人の男(小沢和義)を車に乗せたことからドライブは恐怖に彩られていく…

 ハイカーを乗せる夫とそれに苛立つ妻という図式は、イタリア版の逆パターンであるなど、原点を意識して改変したと思しき要素もチラホラ。またその真意をなかなか見せない凶暴なヒッチハイカーは、『ヒッチャー』のジョン・ライダー(演じてたのはルトガー・ハウアーね)も入っている。

 だけど実際のテイストは、ギラギラ、ザラザラ、ラテン・テイストだった『ヒッチハイク』というよりは、本作と同じく小沢和義出演、永森裕二プロデュースの『飼育の部屋』シリーズの番外編といった感じか。矮小で人間的な魅力に乏しく(…だがそれは、不快であると同時に、不確かな現在を生きる人間としてはむしろリアルさを感じさせてくれる)登場人物の姿など、まさにそのものずばりだろう。ただ、今回の作品は、どうせありふれた監禁ものだろうとなめた態度で観に行った自分を、見事に裏切ってくれた傑作『飼育の部屋』に比べると、饒舌な台詞の向こうに観る者の心を抉るような何かが少し足りなかった気がする。それが結果的に、観ていて物語りの細かい部分での疑問点を感じさせることに繋がってしまっているのだ。男に命じられ、貯金を下ろしに行かされた夫婦は、その時に何故逃げない?映画からは、彼らが逃げられないという状況が伝わってこないのだ。実は同様の部分は『飼育の部屋』でもあったのだが、そちらでは濃密な展開ゆえにそれを気にさせないパワーがあったと思う。なお監督は、飼育シリーズ第2作『~終りのすみか』、そして5月31日から公開される第3作『~連鎖する種』(未見)も撮っている横井健司。

 少ない登場人物が、虚飾とエゴをぶつけ合う本作だが、その中ではやはり夫を演じた寺島進の虚勢、情けなさ、弱さが同性としても痛くて印象的。

 2004年6月ユーロスペースにてレイトロードショーとのこと。

(2004年4月20日・映画美学校第二試写室にて)

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May 02, 2004

5月の映画の日『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』『アップルシード』『オーシャン・オブ・ファイアー』

 毎月1日恒例のエイガファン感謝ディ。5月は新宿で4作品をはしごするつもりで出かけたが、1本目に予定していた『純愛中毒』は初回開映10分前で既に立ち見だった。女性層を中心に結構混んでいるらしいとは聞いてたけれど、これほどとは思わなかったよ。その時点で、2回目以降の回で受付をすますという選択もあったのだが、こんだけ混んでれば来月1日もやっているに違いない!…と希望的判断をして(笑)、既に楽日が決まっている他の3作品をはしご。

『映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ!夕陽のカスカベボーイズ』
(新宿コマ東宝・10時30分~・家族連れを中心…自分を含めたまにオジサン一人あり…に4割くらいの入り)

 映画版『クレしん』シリーズ第12作は、『荒野の七人』『ワイルド・バンチ』等のキャラクター(しかも、主な声優は実際にそれらの作品を吹替えた人だったりする)やヘンな顔のブシュミなんかが登場する西部劇篇。そうした小ネタは面白いけど、『ヘンダーランド』『ブタのヒヅメ』『オトナ帝国』といった大人が観ても唸らされた作品群に比べると、ちょっと物足りない。まぁ、普通に面白いとは思うし、小屋に来ていた本当のおともだちたちは大喜びだったようなので、作品としては間違ってないのだろうけどね。

『アップルシード』
(新宿グランドオデヲン・13時50分~・圧倒的に男性客で9割強くらいの入り)

 多脚砲台がガイアに迫るクライマックスは、ほとんど怪獣映画の画面設計。マジで燃えましたね(笑)。高圧送電線に迫るところなんて、『ゴジラ』『世紀の怪獣 タランチュラの襲撃』の折衷版って感じ。全体的にも、まずは面白かった。日本で初のフル3DCG作品ということで、キャラクター描写は役者が演じたモーションキャプチャー・データ(その収録現場取材はこちらで。今日作品を観るまで判らなかったけど、クライマックス直前(…というかお話的にはここがクライマックス)であるデュナンと七賢老の場面だったっす)に、CG画像をセルアニメのようなイメージにするトゥーンシェイダーというソフトで処理したものだとか。確かに、普通のアニメを見慣れてきたものたちには馴染みやすい映像ではあるけれど、でも逆に背景・メカ等でリアル志向を目指しているのと、ちょっと違和感を感じなくもない。

『オーシャン・オブ・ファイヤー』
(ミラノ座・15時40分・若い女性・カップル等を中心に4割強くらいの入り…小屋でかいしね)

 VFXアドヴェンチャーを得意とするジョー・ジョンストンの最新作は、大感動作『遠い空の向こうに』に続く実話もの。でもまぁ、事実は小説よりも奇なり…というより、当然造ってるだろう(それを責める気は毛頭ないよ、念のため-笑-)要素が満載のアドベンチャー大作。自分の行動が結果的には虐殺に繋がってしまったことから、自分自身を見失い抜殻のようになっていた男が、野生馬ヒダルゴを駆っての過酷な砂漠でのレースを通じ、自分自身を取り戻して行く過程を描いたドラマ部分も勿論快調ではあるけれど、襲いかかる砂嵐、敵部族に捕らえられたお姫さまの救出、蝗の群れの襲来、行く手で待ち受ける流砂など次から次へと訪れる危機のつるべ打ちの前ではいささか印象が薄いのは正直なところ。大段平振りかざす敵遊牧民を前に、小柄のナイフで危機一髪の主人公なんて、ジョンストンと縁の深いスピルバーグの『レイダース』まんまだしね。ただ、前述したような派手なVFX場面もあるけれど、案外実際の砂漠を捉えたロケーションが多いのも見応えに寄与している。大画面での鑑賞をお薦めするっす。

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May 01, 2004

『MAY-メイ-』初日に僕もお友だちを造りました!

 しまった…という前置きは、生存証明で言い訳したからいいよね(^^;。早くも1週間前のネタである。

 24日、人見知りで友だちのいない僕は、渋谷に行くとお友だちがもらえるという噂を耳にして、期待に胸をときめかせて映画館に向ったが、既に劇場ではお友だちの配布は終了していた。やっとお友だちができると思っていたのに…。落胆を隠せぬまま場内に入った僕に、どうすればいいかをスクリーンの中の女の子が示してくれた。友だちができないなら、造ればいい。それも、とびっきりに好きな部分を繋げて…。帰宅するなり僕は、カッターナイフを片手に早速作業に取り掛かった。元々継ぎ接ぎのサリーの頭部に、さくやの眼差しとエイリアンの口、そしてグレムリンの耳。ボディはアイアンジャイアントで、両手はイリス。そして脚部はキラー・コンドームだ!こうして生まれた僕のお友だちを紹介します。

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 ウッソデェ~ス。これが、初回上映午後1時からであったにも関わらず、シアターイメージフォーラムまで当日チケット受付開始直後の10時35分くらいに駆けつけて、受付番号11番で無事get!した“MAY”ストラップでした。因みに次の画像は、ストラップ全体像と特別鑑賞券の半券、そして実に判っているよなぁ感溢れる三留まゆみのイラスト・シール(劇場で無料配布中)の3点セットどす。

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 というわけで『MAY-メイ-』である。最初に字幕無し版の内覧試写を観てから、もう2年が経ってしまっていて、今年の公開作という意識が乏しいにも関わらず、現時点での今年のファンタ系公開作品では、マイ・フェヴァリット・ナンバー1映画がこの作品なのだ(次点はジョー・ダンテの『ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション』ね…でもなんで国内公式サイトがないのよ(泣))。その後、公開が危ぶまれていた時期にはこれを目当てで東京ファンタのオールナイトを堪能し、今年になって公開決定後にもマスコミ試写を観に行き、実にこの日が4度目の鑑賞である。でも本当に、何度観ても痛くって泣けるんだよ。

 主人公のメイは、生まれた時から視力に障害があり、しかしそれを疵ではなく…というかそれを包み隠さんとするような一方的な母親の溺愛の中で、他人と上手く接する方法を知らぬまま成長してしまったティーン。母親から与えられた人形スージーだけを友として、他人との接触を避けるように動物病院で黙々と働いていたメイだったが、そんな彼女にも恋の予感が訪れる。自動車修理工場に勤める手がとっても美しい青年、アダム。アダムが居眠りをしていたカフェで、その美しい手に吸い寄せられるように思わず自分の頬で触れてみるメイ。その後、コインランドリーでの偶然の再会を契機に、二人は接近していったのだが、純粋だが世の理を知らないメイの振る舞いに、アダムは距離を置くようになり…

 夢見る少女のファンタスティック・ムービーと言えば、しばらく前に大ヒットした『アメリ』なんかが代表格だが、本作はあの作品の持っていたまやかし(…勿論、純粋に幸福感に満ちたファンタジーであることを否定する気は毛頭ないが)を、リリカルにかつ痛みを持って描き出した傑作である。痛みと悲しみを伴ったハッピーエンド(俺的には)、まじで涙なくしては見れません。メイ役のアンジェラ・ベティスの存在感も、儚げでいながら実に強烈。彼女はTV版『キャリー』やトビ・フーパーの最新作『ツールボックス・マーダー』等、この後もジャンル系作品への登場が続くので、ジャンル・ファンならばこれで名前を覚えなくっちゃならねぇ逸材だよ。それと色気のかけらもなかった『最終(&新)絶叫計画』のヒロインだったアンナ・ファリスが、レズッ気のあるメイの同僚を結構エロく演じているのも要チェック。

 さらに小ネタでは、メイのことを理解できないホラー映画マニア、アダムが心酔する監督がダリオ・アルジェントだったりするのが、結果的にはナイスな選択ですね。本作が長篇デビューという監督のラッキー・マッキーは、実際にアルジェントのファンであるらしいが、出来上がった作品から受ける印象は所詮アルジェントを好きな輩って、メイの痛さも理解できない似非だってことだよな(爆!)

 ということで、初日・初回は女性客を中心にほぼ満席状態で、現在公開中作品としても勿論オススメ度トップの『MAY』。今日から公開2週目に入ります。現実と自分とのギャップを考えてしまう関東近辺の貴女には、是非このGWに観に行くことを提案します。

 なお、使っちゃうの勿体無いかな…と思いつつ、それでも我慢できずに早速つけてしまいました>ストラップ。つうことで現在ぶるさがっているのは、『リトル・ニッキー』のビフィーとメイ、そしてジャックの頭部って状態です、でも、以前8個とかぶらさげていた頃に比べれば、まだまだ可愛いもんだよな(笑)。

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