皆様、明けましておめでとうございます。昨年はすっかりmixiの方にひきこり(苦笑)こちらはすっかりご無沙汰してしまいましたが、今年はもう少しだけこちらの更新頻度をあげていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお付き合いくださいませ>ALL。

…などと書きかけてウダウダしてたら、早くも1月の半分が終わっちゃいましたよ。相変わらずの有言不実行、困ったもんです。
とりあえず今さらですが昨年の個人的なお気に入り作品を纏めてみました。なお該当作品は鑑賞ベースではなく、公開ベースで選んでます(故に実際には一昨年見たものもあれば、昨年見てよかったけど来年度に送ったものもあcccfffり)。並び順はお気に入り順とは無関係です。
◎2006年劇場公開部門 その1(ジャンル系)
・みえない雲

・スネーク・フライト

・ポセイドン

『みえない雲』は原発事故による放射能汚染の恐怖を、あくまで主人公の少女の視点=一般人からの視点で描くことを一貫させた秀作。確かに一般ドラマ的な部分の比重も大きく、派手なVFX効果もほとんど用いられていないが、放射能から逃れようと駅につめかけるレミング状態の群集を描いたモブシーンはまさに迫真だし、パニックの中で起きる悲劇の描き方にも容赦がない。だからこそ、どん底からの再生を描く最終パートも説得力を持つのだよ。リメイク版『日本沈没』のクリエイターには、これと『ありがとう』を見てパニック映画のなんたるかを勉強し直して来いといいたい。『スネーク・フライト』はB級魂そのままに、突っ込みどころ満載なプロット、中坊が考えそうな下ネタ系襲撃場面、そしてパニック映画定番の薄っぺらな人物配置を臆面もなく取り入れて、まんまとブロックバスター作品として仕上げてしまったしたたかさに脱帽。これは素直に、楽しい映画。オリジナルの持っていたドラマを潔く切り捨て、CGによる地獄絵巻を描くことだけに腐心した『ポセイドン』も、見世物としてはありだろう。劇場スクリーンがリモコン操作できないことが残念に感じるほど、細部まで描きこまれていた転覆場面は満腹感高し。この3本以外では、王道のモンパニ演出と、ちょっと斜めからとらえた物語部分のバランス感覚が楽しかった『グエムル 漢江の怪物』も落せない。
・ディセント

・機械じかけの小児病棟

・デビルズ・リジェクト

洋物ホラーは旧作等の日本での公開がたまたま重なったという側面もあるわけだけど、久々に大豊作。中でも英=『ディセント』、西=『機械じかけの小児病棟』、仏=『ハイテンション』、仏=加『サイレント・ヒル』とユーロ系に見るべき作品が揃っていた。中でも普通に面白い『ドッグ・ソルジャー』でデビューしたニール・マーシャルの第2作『ディセント』は、現実状況とキャラの内面状況それぞれの深い闇を活写した傑作。純粋なホラーとしては、テレフィーチャー『スパニッシュ・ホラー・プロジェクト 悪魔の管理人』の方に軍配をあげるが、現象面は兎も角として後味の悪くない『機械じかけの小児病棟』の結末には、ジャウム・パラゲロの新境地が感じられた。稚気溢れるホラーとしての側面では前作の方がストレートだったけど、『デビルズ・リジェクト』の地獄のニュー・シネマとしてのインパクトは最高。選外扱いとなったが『ホステル』のVシネ的なゴア描写と、『テキサス・チェンソー ビギニング』の素直なアメリカン・スラッシャーぶりも楽しかったぞ。
・トゥモロー・ワールド

SF・ファンタジー系では『スーパーマン リターンズ』『レディ・イン・ザ・ウォーター』『スキャナー・ダークリー』とワーナーブラザースの健闘ぶりが目立ったが、昨年を代表する1本を選ぶなら、70年代英国ディストピア作品群をより現代的に辛辣な状況下でリメイクしたかのようなテイストの『トゥモロー・ワールド』を推す。
・輪廻

・パプリカ

・時をかける少女

国産ホラーは観に行くたびに、ますます玉と石との開きが大きくなっていることを痛感させられるが、メジャーな土俵での『呪怨』以外のオリジナル作品として恐怖描写に冴えを見せた『輪廻』を。他にも『インプリント~ぼっけぇ、きょうてい』『奇妙なサーカス』『渋谷怪談 THE リアル都市伝説』『MEATBALL MACHINE-ミートボールマシン』『コワイ女~鋼』『水霊』には、それぞれ独自の魅力を感じた。『パプリカ』は、まさに今敏の集大成的作品で、時空を自在に操る編集の妙と高密度なイメージの奔流に圧倒。『時をかける少女』は、オリジナルをリスペクトした上でのウェルメイドな改変が心地よい佳作。
◎2006年劇場公開部門 その2(一般作)
・ヒストリー・オブ・バイレンス

・ミュンヘン

どっちも自分的にはジャンル映画として捉えてるんだけど、スペースの関係ってことで気にしない気にしない(笑)。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』は、瞬間的でリアルなバイオレンス描写とところどころに塗された黒い笑いが、久々にクローネンバーグ好きにも大満足。スピルバーグが初めて真正面から政治的な題材に挑んだと公言している『ミュンヘン』も、暴力の無限連鎖を描く語り口はやっぱりエンターテイメント系で一安心。
・あるいは裏切りという名の犬

・メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬

“漢”の映画二題。『あるいは裏切りという名の犬』は、単純な善悪ではなくあくまで程度の差に過ぎない2人の刑事のキャラクター描写と、それを演じきった2人の俳優の好演で最近ではあまり例のないフレンチ・ノワールの快作となっている。『ガルシアの首』を想起させる『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』も、旅の結末には漢泣き必至!
・クラッシュ

・サラバンド

・弓

『クラッシュ』は大好きだけど、アカデミーは絶対取れないだろうな…と思ってたら取っちゃったんで逆に拍子抜けしたというのはあったし、アルトマンの群像劇に比べるといかにも頭で考えて作ってます感がふんぷんとしてるのはどうかとも思う。だけどそれだけに作劇と構成の妙は堪能できたし、絶望的な状況の中で作者が寄せる希望の欠片には素直に共感できた。実は恥ずかしながら、ベルイマンをスクリーンで観るのは初体験だったよ>『サラバンド』。絶対寝ると思ってたのに、見るものを最後まで画面にひきつけずにはおかない濃密なドラマに脱帽。兎に角ギドクには、監督廃業宣言を早々に撤回してもらいたい(…って、もうすぐ日本でやる特集上映にあわせて来日するらしいので、実はあまり心配はしてないが)。勿論『うつせみ』と入れ替えても無問題。
・雪に願うこと

・紙屋悦子の青春

・ダメジン

『雪に願うこと』と『紙屋悦子の青春』は、ベテラン監督がそれぞれの持ち味をいかんなく発揮した秀作。『紙屋悦子の青春』自らの気持ちを告げることすら許されない戦時下での心情を、抑制した演技で演じきった原田知世も勿論最高です!公開順では3本目になったが、撮影順では三木聡の監督デビュー作となる『ダメジン』は、既にデビュー時からその演出スタイルを確立していたことが判る。面白過ぎ!
◎2006年劇場未公開ソフト初リリース部門
・スパニッシュ・ホラー・プロジェクト~ベビー・ルーム(他)

現段階で見たのはシリーズ6本中4本だが、アベレージはかなり高め。中でもアレックス・デ・イグレシアスが初めて本格ホラーに挑んだ『ベビー・ルーム』は、ムーディーな異次元怪談として極上の仕上がり。小道具の使い方や映像表現も巧みだ。因みに“マスター・オブ・ホラー”は、13本中3本しか観れてないので今回は評価を見送った。
・エル・ゾンビ コンプリートDVD-BOX

ゴア描写と怪奇趣味を両立させた、エル・ゾンビシリーズ待望のソフト化!2作品&特典ディスクが初リリースで、残り2作品も初のDVD化。1・2作目は長尺のスペイン語版と英語版が選択でき、映像も70年代っぽさを残しながらもビデオとは比べ物にならない綺麗さと仕様的にも充実。正価2万円超の商品だが、コストパフォーマンス的には決して高くない。
・悪魔のセックス・ブッチャー(+アンディ・ミリガンのガストリーワンズ)

『サイコ』と『悪魔のいけにえ』を繋ぐミッシング・リンクを、字幕つきで見れ日が来るとは思わなかった。画質ははっきりいって最低だけど、米本国でもDVD化されてないタイトルだからまぁしょうがないやね。ウィリアム・ガドラーの臆面のないヒッチコキアンぶりと、パット・パターソンのゴアメイクに和め!
・2001人の狂宴

振り返ってみると、普通の(…って何?)未公開SF・ホラーの新作は、あまり本数を見てなかった。ルイス唯一の傑作をリメイクした本作も、まぁ傑作とか、これは事件とかいうレベルじゃなくて、普通に面白いゴア・ムービーって感じ止まりなんだけどね。
・キング・スネーク -殺人大蛇-

パニック系未公開作は、わりと小まめに追っかけていたんだけど、今年はほとんどこれといった作品はなかっような。『アナコンダ2』をパクッタこれも、どうってことのない一本だけど(爆)、先日ニンゲン失格な怪奇蛇男という有難い称号を頂戴したので、一応蛇ものを入れてみたと、まぁそんな感じ(苦笑)。『コモド vs キングコブラ』よりは、こっちの方が見れたと思うし。
◎2006年旧作初DVD化
・ザ・フリークメーカー

なんで『悪魔の植物人間』じゃいけないんだよ>タイトル。でも名前は変わっても、作品の怪しい魅力は変わらず。コメンタリー、ドキュメント、テレビ放映時吹替え音声と特典も充実。
・地獄へつゞく部屋

モノクロ映画の着色版リリースだが、丁寧な着色よりが予想以上に怪奇ムードを盛り上げている。ただ欲を言えば、高くなってもいいからモノクロ・オリジナル版も同時収録して欲しかった。
・映画はおそろしい <アントニオ・マルゲリーティ篇>

昨年の第1弾BOXび比べると、割高感をより強く感じるというのは正直否定できないんだけどね(苦笑)。でも『幽霊屋敷の蛇淫』はビデオすら出ていなかったので、やはり快挙。
・パトリック

本編映像にゴブリン版サントラが流れる、イタリア公開版再現映像が楽しい。
・ミミズ・バーガー

祝!1000枚売り切り!
◎2006年2005年映画祭&特別上映部門
・シエラデコブレの幽霊@地下上映
幻のホラー番組のパイロット版を、プライベート上映だがしっかり16ミリ全長版で見せていただきました。マーティン・ランドー扮する建築家で幽霊物件鑑定士が、わけあり物件の謎に取り組んでいく展開は、元祖“コルチャック”的な面白さながらしっかり怖かったぞ!現在フィルムの所有者様は、これをちゃんとしたソフトにすべく画策中。気になる方は、「『シエラデコブレの幽霊』が見たい!見たい!」とあちこちでふれ回れば、実際に見れる機会が近づくかも…だぜ(笑)。
・家族の誕生@TIFF
・シルク@TIFF
・ロケット@TIFF

『家族の肖像』は、タイトル通り家族を巡る三つの別個のエピソードがよく練られており、さらに最後に全ての関連が見えてくる構成が鮮やか。『シルク』は未だ荒削りな部分も散見されたが、心霊ホラーとアクションの融合が面白い。『ロケット』は骨太なドラマと、実際の記録映像を交えつつ表現した時代性が出色。
・見知らぬ他人@ニュージーランド映画祭2006

サム・ニール扮するストーカー・サスペンスかと思いきや、ちょっと『うつせみ』風な結末まで先の読めない男女の物語に釘付け。
最後に、1年前にアップするつもりで準備をしながら、やっぱり途中でほおっておいた、2005年のFavorite Moviesもタイトルだけあげておきます。
◎2005年劇場公開部門 その1(ジャンル系)
・キング・コング

・ランド・オブ・ザ・デッド

・チャーリーとチョコレート工場

・蝋人形の館

・バタフライ・エフェクト

・地球を守れ

・マカロニウェスタン 800発の銃弾

・緑玉天使

・魁!!クロマティ高校

・ブース

◎2005年劇場公開部門 その2(一般作)
・エターナル・サンシャイン

・ロード・オブ・ウォー

・エリザベスタウン

・サマリア

・復讐者に憐れみを

・ブレイキング・ニュース

・ネヴァーランド

・ライフ・イズ・ミラクル

・サヨナラCOLOR

・青空のゆくえ

◎2005年劇場未公開ソフト初リリース部門
・ウィラード

・地球最後の男(+人類SOS!)

・メサイア・オブ・デッド(+ザ・ゾンビ 黒騎士のえじき)

・悪魔のいけにえ ドキュメンタリーパック「ファミリー・ポートレイト」&「ショッキング・トゥルース」

・ハリウッド人肉通り

◎2005年旧作初DVD化
・映画はおそろしい ホラー映画ベスト・オブ・ベスト DVD-BOX

・トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン

・赤い影

・恐怖の足跡

・残酷の沼

◎2005年映画祭&特別上映部門
・ドジョウも魚である@TIFF
・三人組@TIFF
・落第@TIFF

・レデントール@ブラジル映画祭

・あの夏の日の浪声@アジア海洋映画祭イン幕張

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